再度、結願へ ①

昨年のクリスマスイブ。

てくてくと、四国歩き遍路をし続けて1年と8ヶ月。

(区切り打ちで10回に分けて、お参りさせて頂きました)

やっとのことで1232キロ・・・88番・大窪寺に到着・・・

結願(ケチガン)!ということで、

感無量☆の一日になると思いきや、

その日はめちゃくちゃ寒い日で(右上が昨年の大窪寺の水場。

右下は今年の水場です。いかに寒かったかお分かり頂けるかと・笑)、

87番・長尾寺を参拝する前から吹いていた猛烈な寒い横風に耐えつつ、

せっせと山を登っていたのですが、

寒さと疲れで腹痛や全身のだるさがあり、

結局路線バスや、たまたま止まって下さった車で

大窪寺まで行くことにしました。

当時は、「それはそれでいい。しかたがない」

と思っていたのですが、年が明け、日が経つごとに

「最後の最後で乗り物の力を使ってしまった。

全部歩いて周るって決めたのに」と自責の念にかられだし、そして

「そうだ、『リベンジ』で、今年冬に歩き直そう」

と決意した次第です。

『たかが遍路、されど遍路』です。

四国遍路で中途半端にやっていたら、

私の人生遍路においてでも妥協が増え、それがつみ重なって、

私の人生も中途半端な「妥協の産物」で終ってしまうという

危機感が芽生え、痛感するようになって来ました。

自らを律することの出来る、自立・自律した

人間でありたいと常に思っています。

そんな決意のもと、肚(はら)くくって行くことにしました。

朝一番のJRナンバ発高松行きの高速バスに乗り、

9時半、高松自動車道「志度バスストップ」で降りました。

ここは86番・志度寺〜87番・長尾寺の間の遍路道と

クロスしている場所です。

ここからゴールの88番・大窪寺までは20キロちょっと。

最初は元気に歩き出しました。

昨年と違い、キモチ5℃は高くて、しかも無風。

更に昨年の失敗から、防寒性の高いダウンコートをゲットし、

寒さ対策を万全にし、逆に暑いくらいでした(笑)。

人間は学習する動物。同じ失敗は二度繰り返しません。

道は平らやし、歩きたてなんで、ルンルン気分の中、

歩きながらあれこれ考えていました。

お遍路で心身の煩悩を祓うどころか、

「せっかく、さぬきに来たんやから、うどんは食べたい」とか

「前からやって来る人、よさそうな人やから、

何か『お接待』してくれへんかなぁ〜」とか、

「アイツはこんなトコがアカンかった」とか

次から次へと煩悩が出て来る始末っ(>0<)!

我ながら、チョー☆情けなくなり、気分は凹。

だけど、だんだんと昨年まで歩きお遍路していた“カン”が

戻ってきて、心がカラッポ(空)になって来て、

「ああ、やっぱり四国遍路道はいい」

「やっぱり、日本の田舎は美しい」と

その遍路道沿いの風景に、お遍路・よしこちゃんは一体化してきました。

そんな時、昨年にはなかった、うどん屋さんがあり、

ちょっと覗いてみると、

うどん屋さんに併設して「無料休憩所」と書かれた施設があり、

入ってみることにしました。

すると、朝から正に「テレビにかじりついて」

時代劇を見ているおばさんがお一人おられ・・・

「すいませ〜ん」と言いますと、

「ああ!どうぞ、どうぞ〜!」と行って下さり、

少し休憩をさせて頂くことにいたしました。

私は、お接待で何かを頂くことよりも、

遍路道沿いの人たちと、何気ない会話をするのが

たまらなく好きなんです。

他の旅行にはない・・・この四国遍路にしかない、

この「土地の人たちと、一期一会で話が出来る」という感動があります。

そのおばさんとお話ししてますと、

ミョーに違和感がないので、おかしいなと思ってますと、

おばさん曰く・・・

「私ね〜、出身はこの町やねんけど、嫁に行ってから50年以上

(大阪の)今里に住んでてん〜!で、ダンナが死んでもて

身内がもう大阪におらんくなったから、姉に言われ、ここに戻って来たんよ〜」。

ナルホド・・・さぬきにいるはずが、大阪のオバチャンと会話している感じで、

ホンマ不思議なご縁でした(笑)。

そのオバチャンの甥っ子さんがこのうどん屋さんをされているらしく、

その時はお店の手が間に合っているようで、それでオバチャンは

その休憩所で時代劇を見ていたようです。

私はその時代劇をオバチャンと見ながら、

オバチャンの世間話&身の上話を、

「ああ、そうなんですかぁ〜」「それは大変やったんですね〜」って

ホンマ私が普段、我がオカンを始め、身の回りのオバチャンたちに

接しているそのまんまでニコニコとテキトーに相槌打ちながら

15分くらい話相手をさせて頂き、しばし休憩をマンキツさせて頂きました。

<つづく>