「無動寺谷 明王堂にて」

天台宗における千日回峰行の本拠地である

無動寺谷にも行きました。

このエリアは東塔地域から、せっせと30分くらい

谷を下りて行く(=帰りはひたすら上り^^;)

・・・車じゃ行けない僻地にあります。

司馬遼太郎先生も足を運ばれたからには、

私も行かない訳には参りません(笑)。

自宅から竹の棒(杖)を持参し、登山を覚悟し、参りました。

名前からして、このお寺のご本尊は

“不動明王”なんですよね。

先程の赤山禅院同様、何故か今回は

不動明王ばかりにご縁があります。

ボーボーと燃えて、自他の煩悩など、

ありとあらゆる邪・悪の存在を追い払う/消すというイメージです。

一応女子なんで(?)日々【憤怒の相】ではなく、

観音菩薩のようにニコニコと水のようにしなやかにしなければ・・・

と思いつつも、私はなぜか観音信仰には興味がない

/必要性を感じないので、

今後もボーボーと燃え(萌え)続けていくしかないです(笑)♪

明王堂は開いていて、中を覗くと、

いかにも「修行僧です!」という20代のほっそりした

若い男性が番をしていました。

「どうぞお参りください」と尼僧のような

澄んだ笑顔で受け入れてくださり、

靴を脱いて本堂の中でお参りをさせて貰いました。

外も中もとにかく掃除が行き届いて、

若い修行僧はひたすら掃除という行を

されてはるんやなぁととても良く分かりました。

お線香を立てる場所に、ほんの少しだけ、

灰が落ちていました。

それに気づいたそのお坊さんは

「あ。すいません。せっかくですので、

気持ちよくお参りして頂きたいですので、

拭かせていただきます」とおっしゃり、

小さな濡れ雑巾で念入りに拭いてくださいました。

だけど、ちょっと緊張されて、

拭き方がうまく行かず(恐らく修行し初めてそんなに間がない)、

すいません、すいませんと何度もおっしゃっていました。

別に、ほんのちょっとなので、知らんぷりしたり、

私が去った後でさっと拭いてしまいやん〜って思ったのですが、

さすが、千日回峰行のメッカで修行を

重ねるお坊さんだけあって、

やることや私たちお参りする人への

心づかいが徹底されていて、とても感動いたしました。

お参り後、来た道を戻ろうとすると、

明王堂の外に「何度も洗濯してます!」という

年季の入った白い作衣を着、

ほうきを持った別の若いお坊さんがいつの間にかおられ、

せっせと境内を掃き清めておられました。

こちらのお坊さんは30代の真ん中、

いかにも体育会系で「千日回峰行に憧れて来ました!」

という感じで、私の気を感じたらさっと私の方を向いて

「こんにちは!」と元気に挨拶して下さり、

またせっせと掃き清めておられました。

別に今、掃かなくても十分綺麗やのになぁ。。。と、

ここでも思ったのですが、

さすが無動寺谷のお坊さんやなぁ。。。と

また更に感動いたしました。

(ここまで来る片道30分くらいの参道も

とても綺麗に掃除・管理されています)

娑婆がどんなに変化(へんげ)しようとも、

この無動寺谷の修行僧の風景は

昔から何も変わることなく継承されて来て、

数々の修行を通して、大阿闍梨という立派なお坊さんになられ、

衆生を救って行かれる存在になられて行かれるんやなぁ〜と、

悠久なる人間の叡智の一端を、

無動寺谷という一つの小さな谷間で観じることが出来ました。