表装裏打ち実演

昨日の「ラスター堂」訪問ブログの続きです。

我々が「ラスター堂」を訪問した際に、木原先生が表装の裏打ちの実演をして見せてくださいました。刷毛を持って作業台に向かった先生の姿は、今まで打ち合わせをしていた時とは全く別人に見えます。

目つきが鋭くなって背筋がピンと伸び、両手は腕から指先までが繊細な神経でコントロールされ、薄い和紙に水や糊を含ませた硬い刷毛が往復します。その様子を私のような素人カメラマンが撮っても、それなりのシチュエーションに写るのが不思議です。

今回のブログで追記したかったことがもう一つあります。

木原先生がお持ちの防水、防カビ、難燃加工技術です。その加工を施した薄い和紙を見せて頂きましたが、見た目や触った感触は普通の和紙と同じで全く見分けが付きません。

私が見ていたその和紙に突然、木原先生がコップのコーヒーを・・・
「アァッ・・・!」
でも大丈夫です。
コーヒーは和紙の上で水玉状態のままでコロコロとした後、床にポトンと落ちてしまいました。和紙の裏側でやった結果も同じで、コーヒーの染みや湿りは全く無いのです。

文化財の中には書物になったものも少なくありません。書物と言ってもそれなりの時代のものですから、その殆どが薄い和紙の数十枚から数百枚が糸で綴じられています。木原先生の防水、防カビ、難燃加工ではその書物を解体することなく、糸で綴じたままで加工処理が出来ると言うので驚きです。また、この技術は皮革や布、木材にも適用出来るそうです。

帰りには、また先生の作品の掛け軸「仙人」を土産に頂いてしまいました。