県立いえしまキャンプ場へくるのは、何回目だろう。「母と子の島」と呼ばれていたときには、毎年来ていたように思う。でも今回は、3年ぶりだ。
痛いほどの太陽が照りつける瀬戸内海は、波立つことを忘れたかのような静かな海面が、すべるようにボクらを家島へ運んでくれた。船着き場から本部までは、うんざりするほどの坂道を汗だくでのぼり、めいめい買いあさった食材などの荷物を、分け合って運ぶ。「センセ—、ボク山登りきらいや」と叫んでいる。「ここは山じゃない。海へつづくステージや」「はよ海入りたい」ガヤガヤ言ってるうちに、到着。もちろん着くなり水着に着替えて泳ぐ準備。日焼け止めもそこそこに、みんな今年2回目の海に飛び込む。海にもたれるようにして、空をみあげる。あ〜、天国!これまでの忙しかった日常がさらりと流されていく。「くらげにさされた」「岩で足ぶつけた」だれかが騒いでいる。でもここは時間の止まった別世界。「やっぱり来てよかったわ」とバイトに追いまくられているMが、しんみりスタッフに語りかけていた。