「明日、豆まきやで!」
「きみは、鬼の役にぴったりやから、休んだらあかんで」
「それって、ヒドない?」
「鬼は先生にきまってるやん」
「そうそう、学校でも先生が、たしか鬼やったわ」
「うそやろ、そんな学校どこにあるねん」
下駄箱の前で、がやがやと帰り支度をしながら
子どもたちが明日の話題で盛り上がる
ところが、どうしたことか今日は欠席が多く
だれも豆まきの話題を口にしない
そこへ学童の小学生がフリースクールに帰って来た
小学校で給食の時間に豆が出たらしい
「みんなにないしょやで」「そおっとはさみうちにしよう」
ボクは小学生と豆をにぎって
スタジオでギター練習している3人の鬼たちの所へ
「ぎゃー、なにするんや」
「逆襲だ〜」
そして、しばらく豆まきバトルが続いた。
「こんな激しい豆まき、はじめてや」と
おとなしい中1の男子が
楽しげにつぶやいていた。