きみを引き受けます。いのちがけで・・・

テレビを観ていて、西脇の紡績工場の若い経営者が、あるときから変身する姿を映し出していた。入院中の先輩からの一言が彼の人生を変えたようだ。

 「自分のために生きるな、ひとのために生きろ」と

 病床から絞り出すように投げかけた言葉が彼の心の襞に突き刺さる。若い経営者は、低迷する伝統の地場産業に、もういちど光を当てようと東奔西走する。寝る時間を割いて走り回る。でも簡単には成果がでない。協力者も少しずつ冷やかになっていく。自分の情熱さえもが傾きかけたとき、彼の脳裏に先輩の言葉が響いてくる。

 えらい先輩だなと思う。ボランティアをしていることを、自慢にしたり、誇りに思ったり、だから相手を批判したり、不満がつもったり、新鮮な初心は忘れて、自分の中に眠る低俗な我が頭をもたげてきて・・・ なんということか! なんとちっぽけな自分かと。

 実業家の彼が、これだけの思いをして、地場産業のみならず地域活性化のために奮闘しているのを見せられると、頭が下がる思いを抱くだけでなく、非営利のわれわれも負けてはいられないなと強く思う。

 行き場を失った不登校・ひきこもりの青少年とむきあって21年、もういちど新たな気持ちで、「あなたを引き受けます。」と力強く受け止める姿勢を貫いていこうと、慣れきった相談業務にも、もっとみずみずしさのある言葉とこころであたっていこうと、彼を観ていて、身がひきしまる思いがしました。 残念ながら、まだまだです。