むかし東京の山谷というドヤ街で日雇労働をしていたころ、東北から出稼ぎで出てきた人や流れ着いたら東京だったという流民があふれていた。1泊300円の木賃宿に泊るお金まで飲んでしまった男たちが玉姫公園でゴロゴロ青カンしていた。
現代、あれから40年以上経っているが、経済的に成りゆかず、夫の酒と暴力から離婚し、調停が進まないまま子どもを連れて夜逃げ同然で転々とする家族と出会った。まるで現代の流民である。もちろん子どもは、学校に通っておらず、といってフリースクールの学費を払う余裕も蓄えもない。しばらくは、裁判が終わるまでは無料で受け入れていたが、いつのまにか通わなくなり、風の便りで大阪に引っ越したと聞く。われわれ民間の施設が全力で努力しても受け入れきれないケースがじわじわふえているような気がする。政治の光があたらないところで崩壊していく家族、増殖する流民人口。
この国をつかさどる政治家たちよ、どうかこちらに目をむけて、流民の嘆きの声に耳を傾けてください。