「自由がこわい」と泣き出す少女

ひとりの女子中学生が神戸フリースクールを体験した
初日、カルチャーショックで、帰宅するなり泣き出した

彼女からボクにメールが届く
「帰ってからずっと泣いています。」と
「あまりにも自由すぎて不安なんです。」

「まるで保育園のころ、飽きるまで泥んこ遊びをしていた
あのときの記憶がよみがえってきました。」

「私は保育園児ではない、もう中学生なんです。」
「時間割通りに動いてないと不安です。」
「1日5時間か6時間の勉強がないとこわいんです。」

開放的な教室で、みんなが思い思いのことをしている
なんて、ありえないと彼女は言う

台所で数人が料理をつくっている
パソコンの前で男の子が叫んでいる
音楽室からはギターの音がもれてくる
これから英語の授業が始まるというのに
だれも机の前には座っていない
みんなそれぞれ楽しそうだ

「こんな雰囲気に、私はなじめるのでしょうか?」
「すごく不安です。」
涙は止まらないようだ。

与えられなければ、体が反応しないほど
学校文化に馴染んできた子どもたち
自由がこわいと泣いている

自由がないところに自主性なんて育たない
彼女の不安がとれるのはいつのことだろう

先輩女子たちにたずねてみた
「はじめは、みんなそうですよ」と
一番強そうな高校生が口火をきった
そして延々とその話題は続いていた