「てんかんと脳波」について・・・

京都の事件から、「てんかん」が問題となり、てんかんの患者が肩身のせまい思いをしているという記事を読んだ。

ボクが保険の調査員をしていたころ、だからずいぶん前の話だけど、毎日のように交通事故患者の入院している病院を訪ね、主治医から病状の経過などを聴取していた。とくに頭部外傷では、頭蓋内出血の場合だけでなく脳震盪など軽い症状のときでも、念のため脳波検査を実施している病院が少なくなかった。

「てんかん」は脳波検査で明らかに証明される。特有の「棘波」つまり「スパイク」が現れるからである。脳挫傷などで、脳にダメージを受けると「徐波」「スローウェーブ」というゆるやかな波が出現する。ただ成長期にある子どもたちの場合は、脳波は安定せず、診断が難しいとも言われていたように思う。

頭部外傷でいろんな脳外科医に面接したが、「てんかん」と外傷性の因果関係は難しいと言われる。まず大方の人は、過去に脳波をとっていない。だから比べようが無い。それが先天的なものかどうか診断できないというのだ。遺伝傾向もあるとのことで、親類などに「てんかん」の患者がないか保険会社では事情聴取したりもする。

フリースクールの卒業生に「てんかん」患者がいる。彼女は、20歳になってからはじめて「てんかん発作」を起こした。それまで1度も発作を起こしたことはない。バイトあけに音楽ライヴに行って、アルコールを飲んでいるときに起こったそうだ。医者からは「過労とストレスが原因」と言われたそうだ。かけもちのバイトをしていて、睡眠時間も少なかったようである。服薬してからは発作は起こっていないと話していた。

長期間薬を飲む必要があるけど、きちんと診断されたら、「てんかん」は恐ろしい病気ではなく、ありふれた病気である。10年前にくらべると薬も副作用の少ないいい薬が開発されているということで、安心して生活することができる。卒業生の彼女も専門学校卒業後、新入社員としてがんばっている。