実りの秋、ぶどうの秋。

以前に一度書いたのですが、私は百姓の娘です。
収穫の時期には、家の手伝いが当たり前です。
今日は、二人の息子を連れて手伝いに行きました。

昨年、某雑誌に「こだわりおやじのこだわりぶどう」ということで
紹介されたことがあるのですが、今日その雑誌を手に
神戸から若い3人が、訪ねてきてきてくれました。

「ぶどうって、どうやって作っているんですか?」

との質問に、父は大喜び。

しかし、注文殺到で大忙しの家内製手工業の現場では、
十分な説明もできず、地味な農作業風景を見て、ぶどうを食べて、
農家の作業を知ってもらうだけになってしまいました。

今年は、長雨のため、ピオーネの色がまだ十分ではないため
出荷が遅れています。

口コミで、日本全国からの注文を受けるようになったのですが、
それでも作業は、家内製手工業なんです。

一房一房を丁寧に、かたちを整えて、袋詰めにしてから
箱詰めするのですが、消費者の手元に届くまでに、
実に多くの過程があるんですよ。

父は、初めてのお客さんに必ず言うことがあります。

「ぶどうは、手をかけてやったら、かけた分、おいしい実をつけてくれますよ。」

農業は、自然に謙虚にならざるを得ません。
天災は、人間の力ではどうにもならないですからね。
だからこそ台風の時期、百姓は、豊穣を祈ります。
これは、今も昔も変わりません。

時代がいかに変わろうとも、作物が育つ過程において大切なものは
かわりません。

土と水と太陽と、そして百姓が作物にかける愛情です。

人間にとって必要なものもおんなじでしょうね。
大事なものがわからなくなったとき、私を助けてくれたのは
やっぱり、土と水と太陽がある風景でした。

それが百姓の娘の原点なんでしょうね。