今回のサドベリー関係者へのインタビューで取り上げられているのは、「年齢ミックス」というテーマです。
デモクラティックスクールは、学校としては限りなく現実の社会と似た構造をもった組織であることはこれまでも述べてきましたが、それを示す特徴のひとつが「年齢ミックス」、つまりいろいろな年齢の子どもを恣意的に隔てるクラスというものが存在しないことです。
既存の学校では自明視されているこの“クラス”という構築物は、すべての人間は同じ年齢のときに同じ学力を有するという考えに基づいており、またその考えを元にして“カリキュラム”“学習指導要領”というものが国家によって考え出されています。
しかし現実には、人にはそれぞれ得意不得意があり、またあることに得意になる年齢も人によって異なります。「一流大学」を出てその後まったく勉強しない人もいれば、30歳を過ぎてから勉強に目覚める人もいます。もちろん、どちらがいい悪いという話ではありません。ただ私が言いたいのは、この“クラス”というものの不自然さです。
この“クラス”により私たちは、学校という組織では同じ年齢の子供とだけ知り合うことができ、それ以外の年齢の子供とは「先輩」「後輩」という不自然な上下関係のみを通して知り合うことになります。
しかし、本当は私たちは知っているのです。10才の子供でもリーダータイプの子どもはリーダーだし、40歳でも人の指示に従うほうが合っている人がいることを。つまり、年齢によって人を分けることはおかしいことを。
仕事でもそうでしょう?若くてもできるビジネスマンはいるし、何年働いても向いていなければうまくやることはできません。
わたしたちは現実の社会において、人の能力と年齢など関係ないことを知っています。
デモクラティックスクールでは、違った年齢の子供同士が自由に交流できるし、(興味が一致すれば)一緒に受ける授業を行うよう提案することもできます。
現実の社会でも、年齢に関係なく、興味や利害関心が一致した者同士が集うように。
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Michael(16才、Jerusalem Democratic School)
「まず言いたいのは、年齢ミックスはデモクラティックスクールがもつ最も素晴らしい点の一つだということだよ。普通の学校では同じ年齢の子供としかつき合うことができないけど、ここでは同じ関心をもつ子供たちとつきあえるんだ」
Regina(20才、The Booroobin Sudbury Democratic Centre of Learning)
「わたしの一番の友達は13歳の子どもよ」
Seth(卒業生、Sudbury Valley School)
「年齢ミックスはとても重要なことなんだ。それによって子どもたちは、現実の社会がもつ荒波の雰囲気に溶け込んでいくようになるんだよ」
Michael(16才、Jerusalem Democratic School)
「5才の子供と15才の子どもの間に違いはないなんていうのは真実じゃない。でも人々は恣意的に、12才の子どものクラスに11才の子どもは入ることができないと考えている。そんなの意味ないよ」
Seth(卒業生、Sudbury Valley School)
「年齢ミックスが存在しないのは、既存の学校に行っている間だけだ。遊び場でも、職場でも、自分より年上の人とも年下の人とも一緒に時間を過ごすものだよね。どこに行ってもそうだよ」
Michael(16才、Jerusalem Democratic School)
「いろいろな年齢の子どもが参加した授業があったんだ。僕に1回ポルトガル語を教えた7歳の子どもがいたり、2ヶ月間多くの人にロシア語を教えた8歳の子供もいた。そのクラスはみんなが興味を持ったから始まったんだ」
Seth(卒業生、Sudbury Valley School)
「(デモクラティックスクールでは)年上の子どもたちが何かクリエイティヴで興味深いことをしていたら、年下の子どもがそれを見るんだ。小さい子たちがそれに興味を持ったら、彼らはそれについて話し合うんだよ」
Q 同じような年齢の子どもたちだけが参加している授業はないの?
Kelly(Jerusalem Democratic School, 14才)
「あるわ。でもそれはそうしなきゃならないからではないし、他の年齢の子どもが参加するのを禁止されているからでもないの。たとえば心理学の授業では13から14の子どもがちょっと多いの。でもときどき小さな子が授業に入ってくるし、彼らが興味を持てばそこに居続けるの」
Michael(16才、Jerusalem Democratic School)
「その一方では、哲学の授業ではあらゆる年齢の子供がいるんだ。部屋がいっぱいになるくらいにね。そこでは哲学を理解する子もいればできない子もいるけれど、それと年齢は必ずしも関係ないんだ」
Seth(卒業生、Sudbury Valley School)
「同じ年齢の子供と一緒にるのはたしかに楽しいよ。既存の学校では子どもはずっと同じ年齢の子たちと遊んでいるよね。でも、いろいろなタイプの人間と一緒にいるというのも、面白いことだし、大切なことなんだ。将来自分が経験しなければならない難しいことを今経験している年上の人と一緒にいるんだからね。そこから学べることもある。あるいは、自分がすでに経験した難しいことを今経験している年下の子供と一緒にいて助けてあげることもできるんだ。それは素晴らしいことだし、重要なことだよ」
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