わんぱくキャンプ(平成21年8月3日・4日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

8月3日朝、ありもとはまず、海南市別院のクヌギの大木
を見に行きました。
自然仲間から、この大木の樹液溜まりに、アズキガイとい
う数の少ない巻貝が集まっているという情報を聞いたから
です。
孟子でも、「ヤッホーおじさん」でおなじみに貴瀬誠さんが
大旗山の尾根道で採集した記録があるのですが、ありも
とは実際生きているアズキガイを見たことがなかったので
撮影を兼ねて訪れたのでした。

件のクヌギに集まる小さな巻貝を見つけ、ストロボ撮影し
ているの、北野上小学校の生徒たちが、次々に登校して
行きます。
小学1年生の子から、小学6年生の子まで、集団登校で
す。
「はよう歩けよ。学校に遅れるど!!」
年長のお兄さんが年少の子どもたちに声をかけます。
年少の子どもたちも、一生懸命お兄さんのあとを追いか
けます。
そしてそのどの子も、道端で貝の撮影をする「胡散臭い」
としか見えないオッチャンに、「おはようございます!」と
元気よく挨拶していきます。

最近、同世代の子と学校の先生、そしてお父さん&お母
さんくらいとしか話をしない子が多いと言われる中で、こ
の「田舎の小学生」たちは、とても気持ちの良い子たちで
す。

ここ数年お手伝いさせていただいている北野上公民館
の夏祭り。ともすれば今の子たちには「ダサイ」としか映
らないかもしれない「金魚すくい」「抽選会」というメニュー
の祭りに、大挙してやってくる子たちをはぐくむ北野上地
区のすばらしさを感じずにはおれませんでした。

そして8時
孟子不動谷到着です。

今日、明日、わんぱく公園が組織する「わんぱくクラブ」
のキャンプを孟子不動谷で開催するのです。

ミンミンゼミが鳴き出しました。
2004年 8月 8日
2005年 8月 7日
2006年 8月 6日
2007年 8月 5日
2008年 8月 3日
2009年 8月 3日
過去6年間のミンミンゼミの初鳴き日を列挙してみると判
で押したように8月の声を聞くとすぐ鳴きだしていることが
わかります。
ありもとにとって、ミンミンゼミの声は、孟子に秋のニオイ
を感ずる声でもあるのです。

土用干しされた入口の水田に植栽されたイネにも、穂が
たちあがり、ナガコガネグモもたくましく成長しています。
これもありもとに「秋の息吹」を感じさせてくれます。

めっきり夏鳥の囀りが無くなりました。
あのにぎやかだった、ホトトギスの声も消えました。
夏鳥たちも、大切な繁殖期を終え、いよいよ「渡り」の準備
を始めているのです。

孟子の夏鳥たちの感覚と、ありもとの感覚が、一致してい
るということです。

北原理事長も朝から来て、キャンプの準備をしてくれています。
架設の風呂が使えない状況なので、数日前から架設のプール
を作ってくれていて、3日かかりで水を溜めてくれています。
また、丸嶋さんと一緒に、とんぼ池周辺の草刈をしてくれていま
す。

わんぱくキャンプは、孟子ビオトープ全員の力が結集して初め
て開催することができるのです。

ありもとは子どもたちの「寝場所」の里山資料館の掃除をし、
夜の探検をする行程をチェックし、名簿に再度目を通し・・・・
そして12時過ぎ、入口駐車場に丸嶋さんとともに向かいます。

三々五々、参加者の家族が集まっています。
受付と参加費用の懲収を済ませ、丸嶋さん運転の箱バンに
荷物を積み込み、お父さん&お母さんとは翌日の13時まで
「お別れ」です。
子どもだけのキャンプ。
ここに「わんぱくキャンプ」の意義があるのです。

2年前までの林間学校に来る子たちと違って、わんぱくクラブの
子たちは「街の子」です。
そしてお父さん&お母さんから離れて生活することになれていな
い子たちです。

ですからありもとも、声が大きくなります。
北原理事長、実恵子さん、雅子さん、わんぱく公園職員の芝さん
、坂本さん、瀧さん、偉士大さん、そしてありもと。
これらの「大人」の言うことをきちんと聞いて、2日間活動するこ
とをまず言い聞かせます。

朝出会った北野上小学校の子たちがありもとに元気に挨拶でき
るように、「目上の人を敬い、言うことを聞け」る子になってほしい
ということです。

今回の子たちは、なかなか「手ごわい」子たちですが、まずこの
キャンプを通じて、彼等の送る「メッセージ」なのです。

一通りの生活の注意を行い、22名の子どもたちを2班に分けて、
自然探検の開始です。

1班はありもと、2班は丸嶋さんが講師です。
ありもと「率いる」1班はまず、小川さん宅の隣の竹林に入ります。
この中に数本あるクヌギには、ミヤマクワガタが結構いるのです。

おっかなびっくりついてくる子どもたちの前で、クヌギの樹をゆら
します。

パサッ パサパサッ・・
懐かしい音をたてて、ミヤマクワガタが落ちてきます。
「わぁーミヤマクワガタやっ!」
子どもたちの歓声が響きます。

落ちてきた2頭のクワガタに10人の子たちが殺到します。
ありもとは「あとはオマエらで話し合って誰のものにするか決めろ」
といって、放っておきます。

「先に捕った子のもんにせぇよ!」と叫ぶ子がいます。
「小さい子に譲っちゃれよ!」と叫ぶ子もいます。
ありもとは何のアドバイスもせず、さっさと歩きます。

一見「冷たい」ように見えますが、これで良いのです。
これこそが子どもたちを、両親から離した、最大の「目的」なので
す。
クワガタは子どもたちの友達です。
つまりクワガタ捕りは、子どもたちの「世界」なのです。
今日はクワガタを捕る「手助け」をありもとがしているだけで、ク
ワガタを捕えたあと、それが誰のものか決めるのは「子どもたち」
なのです。

「自分たちでかんがえる」
「自分たちで遊びのルールを作る」
これが重要なのです。

最初はガタガタともめたり、せっかく捕ったクワガタを奪われて泣く
子たちがいたりと、トラブっていましたが、これを続けるうちに、「ま
ずみんな1匹ずつ、2匹目からは持っていない子にあげる」という
「自分たちのルール」を決めはじめました。
ここに至るまで、瀧さん&偉士大さんという自分たちに歳が近い「お
姉さん」のアドバイスも効いているのです。

子どもの世界に「オッチャン」は無用です。
「オッチャン」たちは、子どもが危険にならないようにだけ見張るべ
きなのです。
「親」という字が、「木の上に立って見る」と書くのは、そのためなの
でしょう。

クワガタ捕りをして遊んだあとは、夕食準備です。
「食器運ぶのちゃんと手伝えよ!!」
実恵子さんの、怒号が飛びます。
子どもたちはめいめい並んで、食器運びを手伝います。

「強面」の芝さんも、子どもたちの動きに「ニラミ」を利かせています。
二人のおかげで、夕食準備をする子どもたちが「引き締まり」ます。

キャンプでは、ありもとと丸嶋さんは、「トトロ」の役目です。
子どもたちに優しく接し、クワガタやトンボのいる場所を教えます。
でもそれ以上の口だしはしません。
探検から帰ると、厳しい「オッチャン&オバチャン」たちが子どもたち
を「引き締め」ます。
そして瀧さん&偉士大さんの「お姉さん」たちが、子どもたちの細かな
生活を見守ります。

これが昔、どこにでもあった「村」「地域」の「機能」なのです。
芝さんが、とても印象に残る一言を、焼酎をあおりながら言いました。

「ワシは御坊市富安の出身やけど、ワシらの子どもの頃には大人たち
は”富安の子たちはワシらの子どもや”という気持ちがあった。今日こ
のキャンプを手伝わしてもらって、そのことを思い出した」

ありもとはこみ上げてくるものをどうすることもできませんでした。
まさにこの言葉に、「わんぱくキャンプ」を通じて子どもたちの伝えたい
メッセージがすべて集約されているからです。

いろんなオッチャン、オバチャン、オネエチャン、オニイチャンたちと
接し、話をする。
時には怒られ、時にはほめられ・・・
そんな中で「本当のコミュニケーション」について学べる。
それが「地域」であったように思います。

そういう世界を、この子たちに体験させてあげられたら・・・・
そう思っているのです。

夕食のあと、夜の探検、花火大会、キャンプファイヤーと続きます。
ありもとは当初「花火」とか「キャンプファイヤー」は、あまり好みませ
んでした。
せっかく山に来ているのに、ワイワイ騒ぎ、まわりから聞こえるフク
ロウの声や、カエルの鳴き声に耳を傾けることをしないのはよくない
という考えです。
でもこの「花火」と「キャンプファイヤー」には、北原理事長の「メッセ
ージ」が込められているのです。

「最近平気で放火する子がいる。これも小さい頃に自分で火を触っ
たり、大きな火を見る経験がないからや。だから線香花火で火を触
らせ、キャンブファイヤーで大きな火を見せるんや」

だからキャンプファイヤーをするからといって不必要な「合唱」はしま
せん。
花火も子どもたちの思いっきりさせて、火を使わせます。
何事も「経験」なのです。
それも大人は変にああだこうだと「手だし」をせず、子どもたちに「考
えさせる」ということです。

そして危ないことをした子がいたら、実恵子さんたちが「コラッ!危な
いことすんな!」と一喝します。

これが本当の「優しさ」なのだと、ありもとは確信しています。

そして最後の「お風呂タイム」
北原理事長が3日かかりで作った架設プールに子どもたちが飛び込
みます。
お決まりの水の掛け合いが始まります。
そこに瀧さん&偉士大さん、実恵子さんも入って壮絶な「水掛け合戦」
が始まります。
いままで厳しく怒鳴っていた実恵子さんも、子どもたちの一緒に思いっ
きり「遊び」ます。
「このオバチャン、見かけによらず優しいんや・・・」
と、子どもたちは思ったはずです。
芝さんの言葉にあったように、子どもたちは、大人の思いをちゃんと
「察知」するのです。

22時を過ぎ、就寝タイムになります。
実恵子さんは瀧さん&偉士大さんを送って、帰ります。
芝さんも、北原理事長も、丸嶋さんも、めいめいに寝どこに向かいます。

ありもとは山案山子のテラスのソファーに横になって、子どもたちの寝
静まるのを待ちます。

ハックショ〜ン!!
やかましく鳴く♀のフクロウと、自分のクシャミで目ざめます。
不覚にも、シュラフに入らずにそのままでテラスで眠ってしまったよう
です。
ゴゴ ッゴッゴゴッゴ・・・
鳴きやむことなく鳴く♀フクロウに「起こしてくれてありがとうね」と呼び掛
けて、寝袋にくるまります。

カナカナカナカナ・・・
 カナカナカナカナ・・・・
山全体が響くようなヒグラシの大合唱に、目が覚めました。

時計を見ると、5時です。
もう子どもたちは起きてカブトムシとりをしています。

芝さんも起きて、キャンプファイヤーで残った火の番をしています。

起き出した北原理事長と二人、朝食準備をはじめます。
子どもたちも、芝さんに促されて、手伝いをはじめます。

野菜サラダにロールパン、目玉焼き・・・
準備した朝食をみんなで食べます。

食べた後は、丸嶋さんチーム。ありもとチームに分かれて、朝の
散歩です。

ありもとチームはクワガタ捕りをしますが、昨日通り、ありもとは
クヌギの樹をゆらしてクワガタを落とすだけで、あとの分配は子
どもたちに任せます。
このころになると、分配の「子どもルール」がかなり定着していま
す。

その後はプールにトノサマガエルを入れて遊ぶ子、トンボの標本
作りをありもととやる子、北原理事長と一緒に孟子不動明王にお
参りする子、と、めいめい別れて行動します。

「みんないっしょ」に何かをするだけでなく、やりたいことを自分で
「選ぶ」ことも重要なのです。

昼食の焼きそばを食べ終え、そろそろ帰り自宅をするころ、子ど
もたちは「最後の宝もの」を見つけました。
炭がまの前に積まれたクヌギ材に、大挙して産卵にくるヤマトタ
マムシのメスたちです。

里山の甲虫の中で最もきれいなヤマトタマムシに、子どもたちの
目は輝いています。
自分の虫カゴに詰め込めるだけ詰め込んで、満面の笑顔です。
自分で捕った、綺麗な虫は「宝もの」なのです。

ありもとや丸嶋さんに「樹をゆらして落としてもらって」得たクワ
ガタより、何倍も価値のある「宝もの」なのです。

ヤマトタマムシのおかげで、子どもたちは最後に「自力で手に
する慶び」も知ることができたような気がします。

なかなか寝ない子もいました。
取っ組み合いの喧嘩もありました。
男の子に泣かされた、幼い女の子もいました。
でもみんな最後は、仲好くヤマトタマムシをとっています。

「今回はみんな、大人の人にいろいろ怒られたやろうけど、自分
が悪いからなんやで。来年もまた、孟子に来てね」
最後に実恵子さんが、子どもたちの「言葉のお土産」を渡しました。

2日間、22人の子どもたちは、元気一杯遊びました。
その中から、さまざまな楽しい思い出を得てくれたことでしょう。

夏の日は、すぐに過ぎてしまいます。
ありもとがミンミンゼミの声に秋を感じるように、もう夏もクライマ
ックスなのです。
そんなすぐ過ぎる夏の思い出に、今回のキャンプがなってくれる
ことを祈りたいと思います。
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<鳥類>
カイツブリ、フクロウ、キジバト、カワセミ、コゲラ、アオゲラ
ツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、コサメビタキ、ウグ
イス、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、スズメ
ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<両生爬虫類>
ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエル、ニホンアカガエル
トノサマガエル、ツチガエル、ヌマガエル、ウシガエル、ニホント
カゲ、ニホンカナヘビ、シマヘビ、ヤマカガシ
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<昆虫類>
ベニイトトンボ、クロイトトンボ、モノサシトンボ、オオアオイトトンボ
ハグロトンボ、ウチワヤンマ、タイワンウチワヤンマ、オニヤンマ
ヤブヤンマ、マルタンヤンマ、ギンヤンマ、ハネビロエゾトンボ、オ
オヤマトンボ、ハラビロトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ
ショウジョウトンボ、ヒメアカネ、リスアカネ、ネキトンボ、コシアキト
ンボ、ウスバキトンボ、チョウトンボ
オオカマキリ、サツマヒメカマミリ、クサキリ、ハヤシノウマオイ、ヤ
マクダマキモドキ、オンブバッタ、トゲヒシバッタ、イボバッタ、フキ
バッタの一種、ツチイナゴ、ツマグロイナゴモドキ、ショウリョウバ
ッタ、ケラ
ホソヘリカメムシ、クモヘリカメムシ、ヒメクモヘリカメムシ、ホソハ
リカメムシ、マツモムシ、アメンボ、オオアメンボ、ヒメアメンボ、ヤ
スマツアメンボ、クマゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、ミンミンゼミ、オ
オヨコバイ、アオバハゴロモ、ムネアカオオアリ、トビイロケアリ、ク
ロヤマアリ、クマバチ、セイヨウミツバチ、コガタスズメバチ、ヒメス
ズメバチ、オオスズメバチ、セグロアシナガバチ、オオハキリバチ
オオフタオビドロバチ、スズバチ、キオビベッコウ、ベッコウバチ、
ヒメベッコウバチ、ハラアカハキリバチヤドリ、ツヤキスジジガバチ
ルリジガバチ、コウヤツリアブ、ヤマトアブ、ホソヒラタアブ
モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、アゲハチョウ、モン
キアゲハ、クロアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハ、キ
アゲハ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、
ベニシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ、ゴマダラチョウ、イ
シガケチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ、コジャノメ、ヒカゲ
チョウ、クロヒカゲ、クロコノマチョウ、サトキマダラヒカゲ、カラスヨ
トウ、クロシオキシタバ、キシタバ、カキバトモエ、オオトモエ、クチ
バスズメ
ヘイケボタル、ヒメクロオトシブミ、キマワリ、ナガニジゴミムシダマ
シ、ミヤマカミキリ、ヤツボシカミキリ、コクワガタ、ヒラタクワガタ、
ミヤマクワガタ、カブトムシ、シロテンハナムグリ、カナブン、アオカ
ナブン、マメコガネ、コハンミョウ、ヤマトタマムシ
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