日本ユネスコ御一行来場(平成22年1月21日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

昨日は異常な暖かさでした。
その暖かさを受けて未明まで雨が降り続き、暖かさは持
続されました。
わんぱく公園大池は、朝から濃い霧にむせび、幻想的な
水墨画の世界が広がりました。

そして、午後からの雨・・・
この雨でふく風の方向が北に変わり、一気に気温が下が
りました。

そして雨が収まった14時
ありもとは、職員の偉士大さん&嶋田さん&坂本さんを公
園に残し、孟子不動谷に向かいました。

ピョピョピョピョ・・・
途中たつべ池上空で夫婦でハンティングするミサゴの睦ま
じい姿を横目で見ながら孟子に向いバイクを走らせます。
今日は東京から、大切な「客人」が孟子に来られるのです。

日本ユネスコ御一行様です。
本日は大阪で会議があるということで、わざわざその帰路
に孟子不動谷を訪問してくださるという嬉しい知らせが先日
ありもとの携帯に入り、北原理事長夫妻はじめスタッフ5名
が現地でお出迎えすることになったのでした。

法人公式URLにも記事掲載させていただいている通り、今
年孟子里山公園は、日本ユネスコ主催の「100年後の子ど
もたちに美しい里山を」というスローガンの未来遺産に登録
されることになりました。
全国で10ケ所しか指定されない晴れがましい指定を、孟子
里山公園がお受けすることになったのです。

平成22年&23年に、「生物多様性活性化プロジェクト」と銘
打ち、里山自然のアンブレラ種であるフクロウと、孟子に多数
渡来繁殖するキビタキの巣箱架設によるモニタリング調査と、
孟子無農薬水田を皮切りに、県下に数ヶ所のモデル区域を設
けての水田の動物調査を行います。

調査には、SSH(SUPER SCIENCE HIGHSCHOOL)を行って
いる県立向陽高校の中等部(向陽中学)の理科クラブの面々に
集結していただいて行う予定にしています。

調査プロジェクトが完了した後も、「未来遺産」の指定は継続す
るので、今回の指定を機に、孟子不動谷はもちろん、北野上地
区全体を里山の豊かさで活性化する取り組みが求められると
ころです。

そういう意味でも、今回の日本ユネスコの方々の来訪は、何よ
りもうれしいトピックスなのでした。

14:50
孟子不動谷到着です。

水田が鋤起こされました。
「冬耕」とわれる水田のこの工程は、田土の中に酸素を取り込み
土中の菌類を活性化して稲作に備えるとても重要なものです。

これが行われると水田に執着を見せる「常連客」がいます。

ノスリ(たか科)です。

大阪府北部で数件の営巣例があるものの、まだ孟子不動谷で
は冬の渡り鳥であるこのタカはモグラやハタネズミ等の小型哺
乳類が大好物です。

この時期に田土が掘り起こされると、土中の昆虫類が活発に活
動を開始し、それを餌とするモグラ類(食虫類)も行動が激しくな
ることを知っていて、水田にそって立った電柱のてっぺんに陣取
り、土が動くのをじっとまっているのです。

かれらがモグラやネズミの個体数を「適切な数」に調整してくれる
おかげで、水田周辺の生物多様性が維持され、丸嶋さんが行う
孟子無農薬稲作&畑作も実現されるというわけです。

昼間のノスリに代わって夜間同じハビタットで狩りをするのがフク
ロウであり、今回未来遺産プロジェクトのモニタリング対象種にフ
クロウを入れたのも、そういう生態系位置を配慮してのことでも
あるのです。

ありもとは昨日の温かい雨に「感じる」ものがありました。

ニホンアカガエルの産卵です。

昨日の雨のような、生温かい夜の雨の日に、一斉に産卵をする
「氷河期に生き残り」と目されるニホンアカガエルは、孟子不動谷
の豊かな稲作水系の象徴種のひとつです。

例年は2月10日前後が「その日」なので、まだ1ケ月近くも早い
のですが、昨日の雨があまりに「暖か」かったので、もしや?と
思ってのことです。

日本ユネスコの方々が来られる前に、とんぼ池を調査します。

1月1日から♂カエルがとんぼ池周辺で「産卵待機」を開始して
いたので、産卵も?と思ったのですが、残念ながら卵はみつか
りませんでした。

明日から訪れる「冬将軍の末期の悲鳴」を知っているのか?
やはり賢いものだと感心してしまいます。

とんぼ池の一通りの調査を終えたころ、実恵子さん&丸嶋さ
んに伴われて、日本ユネスコ御一行様が到着しました。

日本ユネスコ寺尾部長、本間雅子さん&上岡あいさんの美人
コンビ、それに日本ユネスコ協会連盟理事で帝塚山学院大学
国際理解研究所顧問の米田伸次先生の4名です。

ログハウスにお招きし、ビオトープ孟子設立以来のさまざまな
事柄をお話するとともに、今回の指定を機に里山の活性化を
そういう風に行うかについての説明をさせていただきました。

ありもとは子どもたちの教室等の担当をされている上岡あい
さんと席が隣り合ったので、孟子里山公園やわんぱく公園で
の子どもたちにむけたメッセージについて久々に熱く語ってし
まいました。

その後里山資料館・山案山子を案内させていただいたところで
ありもとは3人の職員を「置き去り」にしてしまっているわんぱく
公園に戻りましたが、日本ユネスコの方々は、丸嶋さんのふる
まう「孟子不動そば」のそばがきを食べながら、その後もしばし
歓談されたようです。

「生物多様性」という言葉を、一般の人々と直接結び付ける切
り口は「農」の現場しかないのでは?とありもとは思っています。
昨今取り沙汰される環境汚染物質による汚染を回避し、安全
は食糧を得るためにも、「害虫も益虫も寄り集まっていっぱい
いてて、農作物が無農薬でも、ムシクイになるものの収穫でき
る農業」に回帰する以外の道が見えないように思います。

この農業に立ち返るためには、水田まわりにたくさんに種の
生き物が暮らし、「食う−食われる」の良好なエコシステムが
構築され、害虫も益虫も、増えすぎず、いなくならず、適当な
個体数に保たれる「多様性」により与えられる生態系の存在
なしに、「農薬を使わない農業」の実現はないのです。

そういう意味でも、「生物多様性」の持つ意味は大きいのです。

今回日本ユネスコに認めていただいた孟子の「生物多様性」
の豊かさを、ありもとは「千の風に乗った」あとの100年後ま
で持続させるにはどうすればよいか?という重たい命題を与
えられたことを再認識しつつ、日本ユネスコの面々とお別れ
したのでした。
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<鳥類>
ノスリ、キジバト、コゲラ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、ルリビタキ
シロハラ、ウグイス、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ
ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、ハシボソガラス
ハシブトガラス
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