ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。
一か月のご無沙汰でした。
公園の業務ばバタバタしていたこともありますが、あり
もとはしばらく日高郡美浜町に通っていました。
今冬、美浜町は渡り鳥のパラダイスになっています。
ナベヅルが最大14羽まで渡来し、その中に県下初記
録となるカナダヅル幼鳥が混じっています。
それにハイイロチュウヒ♂が1羽越冬し、美浜町の水
田に越冬するカワラヒワやスズメの大群に依存して、
ハンティングを見せてくれています。
それに、ホシムクドリ、コクマルガラス、ミヤマガラスに
、一回だけの確認ですが、オガワコマドリまで記録され
ました。
美浜町の水田地帯は、和歌山県立日高高校生物部員
により営々と調査がなされ、県下随一の渡り鳥の宝庫
として知る人ぞ知る好ポイントなのですが、今冬ほど、
珍しい渡り鳥が集中する年も珍しいのです。
そんなことで「浮気」して、孟子に1ケ月訪問していなか
ったのですが、今日、今年最後の未来遺産調査で、向
陽中学の理科部員17名を迎えるということで、久々に
孟子不動谷を訪れました。
美浜町が前述のように珍しい渡り鳥でごった返している
のに対し、わんぱく公園でも同じような傾向がみられる
のですが、今年は孟子も雑木林の小鳥の個体数が少
ないです。
今日もなんとか29種の確認ができたものの、しっかり観
察できた種類はほんの数種と、本当に鳥影の少ない孟
子不動谷でした。
まぁ長年調査していたら、こういう年もあるのですが、や
はり我がホームグラウンドに冬鳥が少ないのは、寂しい
ものです。
そんな中朝10時
向陽中学の面々が到着しました。
本日のテーマはフクロウに巣箱作り
今日はうぐいす台エコクラブの松本朱実先生も一緒に
巣箱かけに参加してくれました。
延命地蔵から南西に入る谷を詰めたところに立つスギ
の大木の根元の穴に営巣しているフクロウはほぼ毎年
獣(タヌキが多い)に卵を食べられて繁殖が成功してい
ません。
2009年はとうとう巣穴を覗きに飛来したものの、産卵
は行いませんでした。
フクロウのような定住性の強い、寿命の長い猛禽類は
繁殖が滞ってもそのペアは生き続けるので、ちゃんと生
息しているので安心していると、新しい子孫を生産でき
ないまま落鳥して、姿を消してしまうという危険性が大き
いので、今回の未来遺産調査により巣箱を架設し、繁殖
の担保性を上げるとともに繁殖状況を無人カメラを設置
することでモニタリングするのが目的です。
中学生がやるにはかなり高レベルな調査ですが、本当に
孟子の自然が好きな彼らにこれを経験してもらうことで、
必ず彼らの将来にプラスになると確信しての取り組みです。
小林君が巣箱を担ぎ、その後を林君が支え、他の15名
も廻りを囲んで、延命地蔵南西の谷を登ります。
この孟子便りでかなり詳細に記述しているのでご記憶の方
もおられるかもしれませんが、2年前の11月、この谷は、
時間雨量100mm超の集中豪雨に見舞われ、土石流が
発生し、谷の形状が大きく変化しています。
その豪雨の後、ありもともこの谷に入っていなかったので
地形がこれほど変わっているとは思いもよりませんでした。
事前に一度歩いておくべきでした。
比較的登りやすい山道であったところが、その山道がそぎ
落とされ、登りづらくなっています。
小林君!ゴメン!!
心の中で何度も叫びながら、彼らを気遣いつつ、漸く営巣
地のスギまで辿り着きました。
スギの樹が太過ぎるので、隣りのコナラの樹に巣箱を設置
します。
結構重たい巣箱なのでありもとが背中で支え、それを学生
たちが携えてきたロープで幹に固定します。
コナラの生えた斜面も急で、作業が思うにまかせませんが
なんとか幹に固定することができました。
地形が変わっていて小林君には気の毒なことをしてしまい
ましたが、自力で担ぎあげた巣箱を自力で架設する経験を
通して、彼らが得たものは大きいと思います。
今回の未来遺産調査を通じて、ありもとは、彼らにもてる知
識はすべてさらけ出して提供はしますが、それをまとめたり
採集の作業をしたりするのは全部彼らに任せるようにして
います。
自然の中で膨大な時間過ごすことで、またその中で作業を
じっくり行うことで、彼らの語る言葉に「重み」が出ることを、
彼ら自身に体感してほしいのです。
これは社会に出て、どんな仕事についても通用することで、
一生懸命頑張ること、すべてのプロセスをしっかり自分で
体験することで、それについて自分が他人に話す際に、言
葉に重みが増し、説得力が増すのです。
また、人に伝えることを目的で行う学習は、最も効果的で、
学習効果の高いプロセスであるということを、彼らに知って
欲しいと思っています。
そしてその副産物として、自然大好きな彼らに、自然の深遠
さと楽しさが伝われば、今回の未来遺産調査は、大成功だと
ありもとは思っています。
そのために、時間をかけて、自然の中で、出来る限りすべて
の行程を、彼らに体感してもらいたいと思っています。
重い巣箱を担いで谷を登り、その巣箱を取り付け、そして下る
だけで、午前中の調査行程は完了です。
このシンドイ作業を笑顔で行ってくれた小林君と林君の背中を
今日見た下級生の諸君には、先輩を尊敬する心も芽生え、彼
らの思いをしっかり引き継ごうという「自覚」も生まれると思いま
す。
「後輩が先輩を尊敬する」という当たり前の事柄を、しっかりと
胸に刻ませるためにも、ちょっとはシンドい作業を彼らにさせ
る必要もあると思っています。
こういう長くてシンドイ作業を生徒にしっかりとさせる時間を捻出
してくれる顧問の前川先生の功績も非常に大きいと思います。
午前中のメニューを終え、前川先生に連れられて、14名の生徒
諸君は帰路につきましたが、林君、高橋さん、西林君の3名が
孟子に残るというので、ありもとも昼食後つきあいます。
「せっかく残るんやからデータを取りたい」
そう真剣なまなざしで喋る林君に触発され、ありもとも何かとれ
るデータを考えます。
冬鳥のデータを取ろうと思い、天堤池まで歩きますが、ヒヨドリ、
モズ、ルリビタキの3種しか出ず、これは無理だとあきらめます。
その時根来昆虫調査隊でオオムラサキ調査をしていた高橋翠
さんが「ヒント」をくれました。
「ありもとさん! エノキの樹無いん? ゴマダラチョウの幼虫
調べようよ!!」
ありもとも膝を打ちます。
冬の調査としては格好の材料です。
天堤池までに山道にある目立つ4本のエノキと、きみひろ池の
池畔に立つエノキの樹下で、「神経衰弱」を行います。
「ほらいてた!!ゴマダラの幼虫やで!!」
高橋さんの元気な声が響きます。
この子は本当にチョウが好きな子です。
本当に目を輝かせて、エノキの落ち葉をひっくり返しています。
林君はエノキの樹をしっかり撮影し、どちらの方角に何頭の幼
虫がいたかを、しっかり記録しています。
「また、新しいデータを取ってしもうた!これでまたまとめる時間
が増えてしまう!勉強の時間が無くなるわ・・・」
そう苦笑しつつもなぜか楽しそうで「オマエらも手伝えよ!!」
と高橋さんと西林君に言う姿は、すっかりリーダーの風格を漂わ
せています。
・自然の中で、しっかりと長い時間をかける。
・その調査を、しっかりと楽しむ。
・調査データを、しっかり時間をかけてまとめ、ありもとのアドバイ
スを参考にしつつ、自分で考察してみる
・他人に伝えることを目標に、プレゼンの資料をまとめる
来年もこのプロセスだけは、しっかりやらせようと思っています。
「オレ、今年で卒業やけど、オマエら来年大丈夫か?」
そう心配する林君を安心させるためにも、引き継いだ下級生たち
にしっかり上のプロセスを経験させることで、林君がそうだったよう
に、下級生諸君も成長してほしいと思います。
さぁ!!明けて平成23年
いよいよ未来遺産の「ラストイヤー」です。
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<鳥類>
カイツブリ、ノスリ、キジバト、アオバト、コゲラ、アオゲラ、セグロ
セキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、ミソサザイ、ルリビタキ
ジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、エナガ、ヤマガラ
シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、クロジ、マヒワ
カワラヒワ、シメ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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