Weekly Report #9 近況報告

ウイークリー・レポートとしてスタートしたこのコラムだが、前回の発行から早1ヶ月がたとうとしている、マンスリー・レポートに変えなければ、と反省の気持ちも感じていたころ、定額給付金と寄付に関するニュースが久しぶりに伝わってきた。

伝えたのは、日本経済新聞。
6月22日(月)の夕刊の15面に、トップで写真入りという大きな扱いになっている。
→→下記PDFファイル

 「給付金寄付『使い道次第』」という見出しに、「『就労支援』に限定→手応え、『NPO活動費』『地元に』→鈍く」というサブタイトルがついている。

使途を限定して寄付を募集した山口県萩市子育て支援課には、6月22日までに166件、152万円の寄付が寄せられたという。

 この記事では紹介されていないが、横浜市では、6月15日現在で2800万円余りの寄付が集まっている

寄付の使途は、若者の雇用確保のための支援、高齢者の安全確保のための支援、生活困難を抱える女性、子ども、障害者、外国人の子供のための支援、横浜市に一任の4つ。

このうち一番多いのは、生活困難を抱える女性、子ども、障害者、外国人の子供のための支援への寄付で、全体の半分を超える1421万円あまりにのぼる。

 では、NPOはどうか。

サブタイトルに「鈍く」とあるように、日本経済新聞は、かんばしくない状況を伝えている。

高齢者配食サービスの「きらっと」(堺市)は、「寄付はまだ1件」、「均等待遇アクションネット21京都」は「自分の生活も厳しく、寄付まで回らない」という。

 「きらっと」は、KNPOに加わっている「街づくり夢基金」が支援を呼びかけている団体のひとつだ。

「均等待遇アクションネット21京都」は、KNPOとは直接関係ないが、このWeekly Report#4で紹介した。

 日本経済新聞の記事に対して、「街づくり夢基金」の阪野修さんは、「『寄付が1件』とありますが、NPO法人キラットさんの口座に直接振り込まれたのが『1件』と言うことです。
街づくり夢基金の口座には、現時点で54名246,000円でほぼ毎日1件の振り込みが続いています」という。
ただし、「想定より苦しいのは事実です」と伝えてきてくれた。

 ちなみに、この記事では、私のコメントも紹介されている。
「3ヶ月が過ぎても、十分な金額が集まっていない」としたうえで、「不況が暮らしに影を落とし生活費に回さざるをえないのではないか」といい、「肩を落とす」とある。
 この記事を書いた記者の方からコメントを求められたとき、同様のことは述べたが、「肩を落とす」ことはしなかった。
そもそも、電話でのインタビューだったので、肩を落としたかどうかわからないはずだ。
声の感じで「肩を落とす」と感じられたのかもしれないが、1度の試みが十分な成果が上がらなかったと推察されたからといって、「肩を落とす」ようでは、寄付集めの仕事をやることはできない。

寄付集めには、忍耐が必要だからだ。

 というか、私は、今回の結果にそれほど失望していない。

阪野さんは、24万円あまりで予想より苦しいというが、大阪府下の箕面市では、AEDの設置などに活用するとして寄付を求めたものの、31万円しか集まってない。
24万円という金額を単独でみれば、大きなものではないかもしれない。しかし、行政が市民に呼びかけてもそれほど大きな額が集まっているわけではないのである。

 「寄付文化が未成熟」という言い方はあまり好まない。

しかし、寄付が集まりにくい状況が存在することは確認できた。

では、これからどうしたらいいのか。それをこれから考えていくことが大切であり、「肩を落とす」暇はない。
阪野さんは「秋には、街づくり夢基金と配食サービス3事業体との合同報告会を開催したく考えています」という。

KNPOは、直接寄付を呼びかけたのではないので、実際に寄付の効果がどれだけあったのか判断しにくい。

しかし、阪野さんたちを見習い、成果の検討と報告を考えていくべきだろう。

(柏木)