「定額給付金を関西のNPOへの寄付に」活動の終了にあたって

11月2日、大阪市は、定額給付金の申請を締め切りました。
昨年秋に計画が発表された生活支援定額給付金の給付開始日は市町村が決定します。
申請期限は、申請受付開始日から6ヶ月間ですが、5月28日にはすべての市町村で給付が開始されています。したがって、一部の市町村は11月末まで申請を受け付けることになりますが、事実上、定額給付金の給付は終了したといっていいでしょう。

 事実、総務省によると、10月26日現在、全国で給付対象世帯の96.6%に定額給付金を給付済みになったそうです。給付済み金額の合計は、1兆9268億円、予算額に対する割合は98.5%と、ほとんどすべての給付対象者が給付を受けたことを示しています。

 この定額給付金に対して、その趣旨に疑問を提示しつつも、給付された資金を生活支援が必要な人々に対する活動を行っているNPOやそうした活動を財政的に支援している市民型ファンドに提供していくよう人々を促していく必要があるのではないか。

 こうした問題意識から、関西で市民型ファンドを運営したり、NPOの中間支援組織としてNPO関連の情報提供や経営指導を行っている団体のネットワークとして、「定額給付金をNPOへの寄付に!関西ネットワーク」(KNPO)は、4月に発足しました。

 この間の主な活動として、以下のことを行いました。
1) 定額給付金をNPOに寄付する意思を表明する人々の署名を集め、公表すること →こちら
2) KNPOの活動を広く知らせるための記者会見の開催 →こちら
3) KNPOの活動を継続的に広報するためのウエブサイトの立ち上げ
4) 定額給付金をNPOへの寄付にと呼びかける新聞広告(朝日新聞)の掲載
5) KNPOに参加した市民型ファンドによる定額給付金を寄付として集める活動
 →こちら
6) KNPOに参加した中間支援団体による定額給付金をNPOに寄付することに関する相談活動 →こちら

これらのうち、1)から5)については、このウエブサイトに成果が掲載されています。

5)と6)については、参加団体によって行われてきました。

KNPOの活動を終えるにあたり、5)については寄付額や使途について、報告すべきという考えから、11月5日までに集計を行いました。その結果は、以下の「定額給付金をNPOへの寄付へ」キャンペーン実績一覧にまとめましたので、ご覧ください。

全体では、276件、310万7354円となっています。

5500万近い世帯に、約2兆円が給付されたことを考えると、どのように評価すべきなのでしょうか。
寄付の件数や金額だけで考えるならば、決して大きい数字ではないことは事実です。
しかし、関西のNPOの関係者の多くが「寄付」をテーマに具体的な取り組みを行ったのは、これが初めてではないでしょうか。

その意味では、寄付を共同で呼び掛けるという発想を具体化した一歩と評価できるかもしれません。

また、寄付の手法についても、具体的に寄付先を明示した街づくり夢基金や募金活動に熱心に取り組んできたドネーションショップわかちあいが相対的にみて大きな成果をあげたことは、今後も寄付活動を進める上で、示唆を提供してくれたといえるのではないでしょうか。

昨年9月のリーマンショック以降の世界的な景気の落ち込みは、日本において「生活支援」が必要な人々を拡大させています。こうした人々の問題に対して、NPOが果たすべき役割はより大きくなっていくでしょう。その際、NPOの活動を支える資金をどう確保していくのかという問題に対して、これからも実践的に対応策を進めていく必要があります。

これまでのKNPOの活動を支えてくださった方々にお礼を申しあげるとともに、今回のKNPOの活動をその第一歩としていく意思を確認した上で、KNPOの活動を終えることをお伝えしたいと思います。

2009年12月1日
定額給付金をNPOへの寄付に!関西ネットワーク

「定額給付金をNPOへの寄付へ」キャンペーン実績一覧
(団体名,件数,寄付金額,使途となります)

(%赤点%) 街づくり夢基金
 85件,672,880円
 配食サービスを行う3団体に渡す

(%赤点%) ゆめ風基金
 42件,366,000円
 災害時の障害者救援金として活用

(%赤点%) 関西NGO協議会
 6,000円
 賛助会費、使途指定寄付(政策提言)

(%赤点%) 千里・住まいの学校
 3件,34,000円
 当NPOの活動に活用

(%赤点%) ドネーションシップわかちあい
 87件,1,033,200円
 託して頂いた給付金は、以下の4団体に寄付します。
 ○大阪・釜ヶ崎の貧困問題支援→山王こどもセンター
 ○派遣切りが全国で最多の愛知の現場支援→愛知県派遣村実行委員会
 ○定額給付金の寄付を呼びかけている→北九州ホームレス支援機構
 ○よりしわ寄せを受けている外国人労働者・困窮者支援→外国人研修生権利ネットワーク

(%赤点%) 市民事務局かわにし
 3件,50,000円
 寄付者の意思により、当法人の「中間支援事業」に活用

(%赤点%) ひらかた市民活動支援センター
 3件,16,000円
 全額ふれあいファンドに繰り入れ、今年度助成決定団体5団体に均等に分配しました。

(%赤点%) ソーシャル・デザイン・ファンド
 2件,100,000円
 SDFフェア・フレンズ・プロジェクトに活用
 アート・チャリティ・グッズの開発・販売,チャリティコンサート等の開催費用として.

(%赤点%) 市民活動フォーラムみのお
 31件,658,474円
 この寄付総額を原資に、公開プレゼンテーションを5月9日に行い、9団体に総額58万8500円を交付し、市民活動の発展に役立てていただきました。

(%赤点%) 大阪NPOセンター
 2件,10,000円
 運営費に活用

(%赤点%) コミュニティ・サポートセンター神戸
 12件,64,800円
 市民活動サポート基金に全額を充当

(%赤点%) たかつき市民活動ネットワーク
 2件,30,000円
 当NPOの事業資金に活用

(%赤点%) しみん基金・KOBE
 3件,30,000円
 当基金の今年度助成事業における助成金に充当

(%赤点%) 大阪ボランティア協会
 3件,36,000円
 協会の事業資金に活用