前回のブログにも書きましたが、少し時間をもらってフィリピンの先住民族コミュニティについて調べるフィールドワークに行って来ました。
フィリピンのミンダナオ島の山中にあるいくつかの先住民族コミュニティを訪ねました。どのコミュニティも難しい問題を抱えつつも、その問題に真正面から立ち向かっていました。
そんな先住民族コミュニティが自分たちの文化という遺産を守りつつ、自らの力で内発的に発展していくためにはどうしたらいいのか、そんな視点から村の長老達にインタビューして回りました。
「生きていくためには、コミュニティの子どもたちも近代的な教育を受けなければいけない。でも、近代的な教育を受けることで私たちが先祖から受け継いだ考え方や精神を失ってはいけない」というのが、ある長老の言葉でした。こういうところに先住民族コミュニティの発展を考える難しさがあります。単に学校を建てたらいいとか、教育を施せばいいというのではなく、昔ながらの文化を保全・継承しつつ必要な近代教育を取り入れるにはどうしたらいいのか、これからも先住民族の人達と共に考えて活動したいと思ってます。
ところでこのブログの写真ですが、ミンダナオ島の山間部に住むママヌア部族が在住する近くの湖のほとりにある大きな洞窟です。さて、ここで問題です。ママヌア部族はこの洞窟を何かに利用することによって、「神聖な場所」として永いこと崇めてきました。洞窟は何に使われているのでしょう?
答えは「お墓」です。湖とその資源を生活の主な糧としてきたママヌア部族は、死を迎える老人はこの洞窟に入ることが義務付けられていました。肉体が滅びてもその精神が湖に宿り、子孫を見守っていくという信心によってこの慣習は続けられてきたのです。
実際僕も洗礼を受けてこの洞窟に入ることを許されました。ママヌア部族の先祖の人たちが安心して子孫たちを見守れるような、そんな日が来るまで僕も一緒に活動する、そこでそう誓って帰ってきました。
kt