御坊市地域デイケアサロンボランティア研修会

「活動報告」にも掲載した和歌山県御坊市の研修会は、大阪大学の斉藤弥生先生のお招きによるものでした。
斉藤先生とは高齢問題で長いお付き合いがありましたが、私たちの活動に触れていただくのは初めてでした。
ブログに寄稿していただき感謝しています。 高林実結樹

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先週水曜日(10月28日)に、認知症予防ネットの高林実結樹さんと福井恵子さんに「認知症予防」というテーマで講演をお願いしました。和歌山県御坊市(人口2.6万人、高齢化率25.9%)では、2009年度に認知症地域支援体制構築モデル事業を実施しており、私はアドバイザーとして、そのお手伝いをしています。その中で認知症についての理解を広めるためには、認知症予防ネットが普及に取り組んでいる認知症予防ゲームが効果的だと思いました。

御坊市では市内27か所のデイケアサロンが月に2〜3回程度も開かれており、その利用者は高齢者住民の1割以上にあたります。最も歴史のあるデイケアサロンは10年以上も活動を続けています。デイケアサロンの活動を支えているのは、サロンボランティアの皆さんで、地域の高齢者に楽しいひと時を過ごしてもらえるようにと、一生懸命に活動されています。私はサロンボランティアの皆さんに認知症予防ゲームを知っていただき、日々の活動に少しでもとりいれていただければと思いました。

会場では100人ものサロンボランティアの皆さんが、熱心に高林さんと福井さんの話に耳を傾けていました。最初の1時間は高林さんと福井さんの講演で、ご自身の経験を踏まえた認知症介護や予防効果についてのお話は誰にもわかりやすく、実感あふれるものでした。学者や専門家の話とは異なり、当事者、経験者の話は格別の説得力があり、参加者の心をとらえていたようでした。

その後のゲームでは大いに盛り上がり、会場は爆笑の渦となりました。新聞広告などの身近な素材で道具をつくり、これだけ楽しくゲームをしながらも、少しずつ認知症のことも考えましょう、という活動の趣旨は、御坊市のサロンボランティアの皆さんにも十分に伝わったように思います。無理なく、認知症についての理解を広めることができると思います。ゲームをしながら、脳にとってどのような刺激があるゲームなのかを説明してくださったのは特によかったです。ひとつひとつのゲームに、とても科学的な意味があることが私にもよくわかりました。

どんな病気でも、その病気に対して無知であることが恐怖につながっています。病気の情報をしっかりと持つことで、多くの不安を取り除くことができるし、重症化を防ぐことにもつながります。とはいっても、病気について勉強すること自体、あまり気が進むものではないし、楽しいことではありません。できれば目をつぶりたいものです。その点、認知症予防ゲームは、楽しいゲームを通じて、認知症という病気への理解を深めることができる点が素晴らしいと思います。このような活動がますます増えていってほしいと強く思いました。

(斉藤弥生・大阪大学大学院人間科学研究科准教授)