奈良県吉野郡下市町の地域包括支援センターから、「急ですが、認知症予防スリーAについて学びたい」というご依頼がありました。小人数とのことでしたので、10人未満でも張り切って行くつもりでした。
下市町での今年度6度目の“元気塾”は、こうして2010年3月11日に予定されました。
ところが日が近づくにつれ人数がだんだん増えて、当日は40人を超えるご参加となりました。
60帖敷きの畳の大広間に、一つの輪に丸く並べた座布団の追加をしたり、多めに準備した資料やお手玉が不足するなど、賑やかに始まりました。
足が痛くて坐れない方が大勢おられ、半数ほどの方は低い椅子に腰掛けておられました。
2時間のうち最初の40分ほどスリーAの紹介と、スリーAの予防ゲームがなぜ脳の活性化に良いかを話させていただきました。一人のこらず熱心に耳をかたむけてくださり、よくご理解いただけたと感じました。
そのあとゲームに入りましたが、最初の、両手揃えての“1から10までの指数え”から笑ってくださったので、認知症の方になぜ笑いが効果をあげるのかを、充分に説明することができました。
笑いの効果と、優しさのシャワーが“いわゆる優しさ”と如何に違うかの意味や、単純なゲームの中に如何に脳活性化が実現していくかを説明して、一つずつに納得していただきました。
なんでも即座に褒めることの大切さ、言葉を替えて褒める、その変え方や、ゲームのスピードアップがどのような働きを意図しているか、どのように緩急をつけるのか、などなどのコツを、一期一会のつもりでお話しました。
講演の目的は、スリーAの予防ゲームを地域で役立てていただくことにあります。
そのためには、各種ゲームにどのような意味があるかということを、充分に理解して頂かないと、スリーA方式の真価が発揮しにくいのです。講演会のゲーム体験で「ああ、楽しかった」で解散しては、お遊び会のようです。教室やサロンと違って、講演会には別の役割があります。
教室やサロンでは純粋に楽しんでいただく、その時のゲームリーダーさんが認知症予防を意識して取組んでいただきたい、そのための講演会にしたいので、短時間であっても養成講座の心構えで臨んで、基礎となる解説をしっかりお話ししました。
男性が3人参加されていましたが、サロンで活用したいと、積極的な方たちがゲームテキストを申込んでくださいました。理論的な理解がリーダーにあってこそサロンでも予防に役立つ楽しいゲームとなります。
下市町では平成22年度は認知症に取組まれるそうで、スリーAのいろんなことを学びたいと意気込んでおられました。
終了後のミーティングにもご一緒させていただいて、ジャンケンたすき取りゲームに使う“たすき”の材質や後片付けの仕方、今回はできなかった太鼓の道具までお話する事が出来ました。
新年度からの事業でスリーA方式が役立つことを大いに期待して、清冽な吉野川の流れを見ながら帰途につきました。
(高林実結樹)