第20回 スリーA認知症予防研修会に参加して

去る9月6日から8日まで三日間の、静岡でのスリーA認知症予防教室指導者研修会を受講してきました。

 今回は研修会が10年目、20回にあたるということで、「介護予防事業」研究の第一人者といわれる田中甲子先生の記念講演もありました。
 これまでの私は、国の制度に認知症対策が無いと知って35年、スリーA増田末知子先生に出会って18年が経過しています。なんとかして認知症予防に成果の高いスリーAを世に広く知らせたいと、一心に広報活動をしてきました。

 田中甲子先生のように立派な研究者、教育者も同じほどの歳月をかけて、政府に働きかけをしてこられ、一時は400億円の予算を実現されながら、小泉政権によってカットされたという話がありました。その経緯などをお聞きして、やるせなくなりました。

 2004年秋、京都の国際会館で行われた「国際アルツハイマー病協会 第20回国際会議・京都・2004」の際には、増田先生とポスターセッションに隣あって参加させていただきました。増田先生のポスターは「初期痴呆疑い者に対する痴呆介護予防事業」というタイトルで、私は「痴呆を早期で食い止めよう」とし、同志の福井恵子さんは「痴呆予防に市民権を〜予防は治療に勝る〜」でした。
 NPO法人を立ち上げて、初めての事業でした。

 その後、仲間と一緒にスリーAの広報活動に打ち込んできました。その甲斐あって、今回の研修会への参加者名簿には、関西からの共感者8人の名前が記されていました。
 その方たちは地域ですでにスリーAの予防教室を実施、またはこれから取り組む意欲に満ちた方たちです。とても心強いです。

 田中先生が講演で語られたように、世間、政府、などは介護予防の考えがとても鈍いと思います。今まで私はそのことに悲憤慷慨していました。しかしもう、そのエネルギーさえ惜しいと思いました。国の制度に期待するのは後回しにして、いま自分にできることを死に物狂いでやらねば、と決意して帰ってきたのです。

 地域で5人でも3人でもよいから認知症予防に関心を持っていただくように、近所の老人会や、小さな施設などに出かけて行って、スリーAの予防ゲームを知ってもらおうという決心です。

気力横溢した研修会で、私もその気力を頂いてきました。

(高林実結樹)