2011/12/08記
2011年12月3日〜4日、東京で上記のフォーラムが開催されました。
今年4月9日にスタートした、スリーA 方式・認知症予防ゲームの首都圏での活動の第2回目という位置づけです。
1 先ず高林さんが午後1時から100分を使って認知症予防ゲームを紹介、全員で体験した後意見交換とワークショップの2部構成のフォーラムとする。
2 続いて2日目にゲームを実施する場合のファシリテーターとしての基礎的な技術を学ぶ機会を設ける、それを元にスリーAゲームを参加者が実演してみるという、こちらは3部構成の形ですすめられました。
今回のフォーラムの主催者「コミュニティケア活動支援センター」事務局長の佐藤修さんと高林さんは2004年のNPO法人設立以前から交流があり、特に2009年12月に行われた湯島コンセプトワークショップでは、佐藤さんの引き合わせで、日本認知症ケア学会の関係者にスリーAを理解して頂けたことがその後の展開につながっています。
東京・大阪・京都でと何度もスリーAに関して懇談を重ねてこられていました。今年の4月9日には
“スリーA 方式・認知症予防ゲームの首都圏での活動がスタートします”
と銘打って「第1回スリーA 方式・認知症予防ゲームの体験フォーラム」が飯田橋で開催され、さらに5月には湯島でスリーAの体験会と「これからどうするか」の相談会などを経て、コムケアのメンバーを主体とする「スリーA方式認知症予防フォーラムネットワーク」が立ち上がり、実行委員会を作って、今回の第2回が実現しました。
今回は認知症予防の枠を超えた視点をもちながら、ゲームをしっかりと体験していただき、そこに込められている大きな可能性を実感してもらえるようなフォーラムを開催する、という佐藤さんの意気込みです。
① 12月3日ゲームの体験と講演——-「スリーA 方式・認知症予防」
高林さんの講演とゲームは、実行委員会の人たちが高林さんがIT公開した講義録を分かり易く整理して作成して下さったテキストを基本として、いつも通りインパクトのある、歯切れのよい、スリーAの真髄を余すことなく伝えようとするものでした。参加して下さった方は案外初めての方、介護に関するお仕事をしておられる方が多いのが特徴でしたが、そのためかとても熱心に吸収するように理解して頂けたと感じられました。A〜Hの班に分かれて自己紹介、感想を述べ合ったうえでの各グループからの質問にも実践的で鋭い質問が寄せられ高林さんは一つ一つ丁寧に答えておられました。
テキストに明記されているようにゲーム自体の遂行を目指すだけでは無く、ゲームを進める上での人と人のやりとり−「優しさのシャワー」によって誰もがいつとはなしに他の人にも優しく関われるようになると言うスリーA精神——-一緒に楽しむだけでなく、気配りを忘れないよう、テキストや講義録では伝えきれない「阿吽の呼吸」を講習会に参加することによって、体得して欲しいという深い視点を求められた今回のフォーラムはその趣旨を遺憾なく発揮出来たものとなっていたと思います。
② 2日目の交流ファシリテーション実践セミナー(9時半〜4時半)
ここでは私達にとって奇跡のような場づくりが展開していきました。
実を言うと、私はこのセミナーの趣旨を少しはき違えていて、これから、スリーAを広めていこうとする方達に、スリーAをどのように宣伝し、聞き手を納得させて、巻き込むかと言う「手法」を教え、能力を養成するためのセミナーと思っていました。スリーAを知り・理解してもらうためにあえて、このような「ファシリテーションの技術」が必要なのか、それがスリーAにふさわしいのだろうか、と言う一抹の不安と疑念を感じていました。
ところが、このセミナーのファシリテーションの対象は「例えば—–」ではなく、完全に「スリーAそのもの」であり、ピタリ「高林」さんをスリーAを伝えるファシリテーターとして高く評価して位置づけておられ、本職の吉本さんは参加した人たちにスリーAをきっちりと理解させ、高林さんから得られるものを全て吸収させるためのファシリテーターの役割を努めておられたのです。
おそらく参加された方が10度高林さんの講演を聴かれても4日のセミナーで得られた以上の理解の深さと能力アップ、さらに「スリーA」に対する信頼と「スリーAを実施する」ことへの確固たる自信は達成できなかったでしょう。そのためには、これだけの時間と「人」と「場」の設定が必要だったのだと感じ入り、お二人の強力な助っ人並びに実行委員の方々のご理解とご協力があったればこそと思い至りました。
吉本さんは、このフォーラムを実行するに当たって
「高林さんのゲームの進め方は芸術レベルであり、個々のゲームの進め方を理解するだけでは、今後、私たちのゲーム実演時に高林さんの域には達しない・・・・ なので、ゲームを進める時の基礎的な技術(コツや職人技)を習得し、並行してゲームの進行を練習すれば、毎回の実演が実のあるものとなり、ひいてはお仲間さんを含む参加者の予防に対する貢献度が高まるだろうということです」。と書いておられます。
改めて、佐藤さん、吉本さんのスリーAへの深い造詣とご理解、思い入れがひしひしと感じられ、本当に感動させられました。
セミナーはほぼ5〜7名のグループに分かれ、ふるさとの自慢話・このフォーラムに参加した理由などについて、或いはメンバーが出したいくつかのテーマの中から、サイコロをふって当たったテーマについて話をする自己紹介やサイコロトークで互いの交流が交わされ和やかになったところで、吉本さんのファシリテーターの基礎編の講義を聴き、さらに、スリーAのお出迎え、自己紹介、ゲームの始めから終わりまで、お見送りの各段階で、高林さんの指導の機会が設けられていました。
またとない高度な人を繋ぐサポーター役としての高林さんの手の動き、声がけ、声の強弱、ゲームの運び方、臨機応変の対応、など、認知症の方への尊敬と尊厳を守るためになぜ、こうであるのか、こうでなければならないか、しっかりと見て、盗み取れ!と言うことです。さらにグループの中で一人一人が実践をして、互いに評価し合うことでよりいっそう理解を深めるという形で進行していきました。
短い時間帯に、「指折り」、「リズム」、「お手玉まわし」、「グーチョキパー」、「じゃんけんゲーム」、「太鼓の合奏」、「言葉集め」、「ビンゴゲーム」を全員が実践し、相互に評価し合って、緊張し、笑い、多くを学び、満足し、意欲を持てたフォーラムであったと思います。
高林さんは、このフォーラムについて
「素晴らしいフォーラムでした。近々未来の首都圏での広がりが、目に見えるようなフォーラムでした。実行委員の皆様が、スリーAの本質を把握できていなかったら、あんなフォーラムは出来ないと思いました。熱意と誠意と能力を兼ね備えた集団、実行委員皆様の認識力を目の当たりに見た思いです」と謝辞を述べておられます。
終了後開かれた懇親会には、“明日の予定”の都合で出席出来ませんでしたが、盛り上がったそうです。とりあえず、このようなフォーラムを開くために関係された方々に厚くお礼を申し上げ、少し時間を頂いて、じっくりと自分の中で熟成し評価したいと思います。東京の人たちの動きは早くて、来年は関西で(出来れば京都がいいな)開催する予定だそうです。目を回さないようについて行きたいです。
NPO法人認知症予防ネット理事
福知山市認知症予防の会
−スリーAチャレンジ−・代表
村岡洋子