山口県岩国市に「スリーA」が伝わりました。

太鼓橋の錦帯橋で名高い岩国市に、6月22.23日と梅雨晴れ間の2日間、行ってきました。
2日連続の5回シリーズ「スリーA」認知症予防ゲームの、リーダー養成講座の講師として招いて頂いたのです。
企画してくれたNさんは、京都府中部の講座で「スリーA」を体得され、今では京都市内で毎月サロン型の「スリーA」教室を開いておられます。近在のグループホームからも2〜3人の方が職員と共に参加されるそうです。

岩国市では、特養ホーム灘海園(なだみえん)で、新築オープン直前のデイサービスの広間を使わせて頂きました。お部屋の初使いは「スリーA」の認知症予防ゲームのリーダー養成講座ですから、最高に相応しいのではないかと、厚かましくも嬉しくなりました。

Nさんは必要な道具一式を京都から送り込んで、準備万端整えられていました。鋸も入っていました。4回目の科目は「道具を作ろう」です。太鼓のゲームに必需の楽譜用紙の寸法を定めるには鋸が必要です。用紙は障子紙を用います。筒状に巻いて売られていますから、筒状のまま、裾を10センチ近く鋸で切り取るのです。薄手で、目の細かい鋸で、筒を切断する途中で、“芯棒を切らないで棒のまま残す”ことが出来て、満足で幸せでした。そのあと、皆の共同作業で楽譜を筆写しました。

講座の進め方は、会場の部屋の様子、受講生の人数などで若干順序が変ります。ここでは独自の進め方にしました。通常は1時間の坐学と1時間の実技、それを5科目行いますが、連続講座のため、移動に何度も時間を取られたくありません。それで最初に2時間2講座分を続けた坐学としました。

坐学は通常の講座では睡魔との闘いに入る人が現れます。睡魔につけ込ませないために、私は輪読会形式にして、合間にエピソードを散りばめて話すことにしています。案の定、1人もまぶたの重みが感じられず成功でした。

実技はイスだけで全員で輪になって座ってもらいます。38人の輪になりました。大きな輪です。10人程度の輪を四つの島に作るところもありますが、それでは「ゲームその1」で、全員で1人のモデルの所作を観察しあうことが難しいのです。ゲームその2に移れば島状態でも出来るのです。

20種目のゲームの、リードの仕方を2日間、10時間で身につけてもらうのは至難の業です。でもそれを遣り遂げるのが講師の役目です。私はスリーA特有の笑顔を絶やしてはなりません。それはお蔭様でなんとかできるようになったつもりです。内心は必死なのですが、それを見透かされてはなりません。それも成功裡に終ったと思うのは、最後の一言感想、これは受講生から講師への講評なのですが、皆さんのスリーA発見の学習会では、講師も合格のようでホットしました。

以下はNさんがお別れの時に玄関で聞かれた感想の聞き書きです。
卓球同好会の男性の方
「受講料が高いと言ったけどあれは冗談。参加して良かった。歳をとっても学ぶことは必要じゃね。有り難う。」

80歳の女性
「輪読のおかげで、寝ている人がいないので皆の心が一つになって講座がまとまっていた。町内の高齢化率が高いので何とかスリーAを定着させたい。」

会場を提供してくださった灘海園の方
「スリーAを売りにしたデイにしたい。シーツ玉入れのシーツも写真に撮ったので、ボランティアさんと一緒に縫ってみる」

2日目は町内の一斉草刈なので、講座に参加できないと言っていた方
「1日目があまりに楽しかったのでやっぱりこっちに来たよ。」

山口県の東部「周防の国」に、認知症予防の一石がまさに投じられました。地域に静かに拡がることが期待されます。
お世話になった灘海園さま、Nさんほか皆様のお蔭で、スリーAの優しさのシャワーが拡がります。お一人ずつが津々浦々の源です。

高林実結樹