私が満65歳で宇治市小倉デイサービスセンターを退職した歳の暮れ、職場の玄関の鍵を掛け終わったその場所が、20年後の今年のご用納めの予防教室となりました。
二階に北宇治地域包括支援センターがあり、その介護予防事業のお手伝いで、認知症予防ゲームのリーダーとして通っています。20年前に鍵をかけてお別れした日のことが、昨日の事のように思われて、年月の流れの早さに驚きます。退職したその日から、京都の福祉をよくするためのボランティア活動が待っていたので、弾む気持ちを抑えて家とは逆の方向に足を踏み出したのでした。
そのような元の職場での今年のご用納めの教室は、とても嬉しいできごとが待っていました。
30人の輪に丸く坐って、いつものとおり、自己紹介・日付の確認・夢の旅行、指のゲームから始めました。中には発症して受診されている方が3人混じっておられます。随分明るいお顔になられました。少し気になるのは、パーの時に指先が狭く閉じられていることですが、私は黙って、素知らぬ顔で、ひたすら待っています。言葉で指を開くようにと大勢に中で言うのは禁物だからです。
ところがこの日は待ちに待った喜びの日でした。指先が、なんと、緩く開いているではありませんか。心が緩く開いてきた証しです。自然の、大きな改善です。うるうるしそうに為りました。これをうっかり褒めると、今までが良くなかったかのように、悪い指摘となりかねないのです。大勢の前で目立つ褒め方は、このように皆が揃って行うゲームの場合には良いほうに働くとは思えないのです。
それではせっかくの自然の回復向上の妨げになります。本人さんが無意識で回復されるのが私の理想です。