認知症専用のデイサービスにて

8月5日(土)、灼けつくような外気の中、電車に乗り遅れないように急ぎ足で行きました。目的地は認知症専用のデイサービス、13回目の教室です。

1時間少しで到着したお部屋には、B子さんがおられて、目の下に紫色の大きなあざが出来ていました。此処では話題にしないことが大事な礼儀です。
歩行・発言・聴力には問題なし、誤認・思い込みが激しい介護度4のB子さんですが、目線が合った途端に、弱々しいながらも笑顔になられたので、ほぼ私を覚えてくださり、受け入れて頂けたつもりになりました。

皆さんと一緒の脳活性化ゲームは、年月日の確認から始める事ができるように、皆さんがなっておられます。B子さんは「私は結構」という風情で暫くは背をそらせておられましたが、誘わないで進めていると、いつのまにか手を動かし歌も一緒に歌っておられました。皆さんリズム変化、途中からのスピードアップをマスターして楽しまれます。男性お一人は、まるで仙人も斯くやという風情で窓際の長椅子に1人、飄然と無言でいつもどおり、素知らぬお顔です。

リズムは2拍子も3拍子も、椅子が大きくて1人ずつが離れておられるので、机を叩いての変則です。3拍子の難しいほう、パチンと拍手を入れる方法を試みましたところ、全員揃ってできました。今日の嬉しい特筆事項その1です。

菓子箱に見えるお手玉の箱の蓋を開けた時は、「綺麗」と皆さんが言ってくださり、B子さんは「上手に縫ってある」と褒めてくださいました。概して機嫌はよくなかったのですが、一番嬉しかった交流がありました。私を心配させまいと気遣う言葉をもらったのが特筆事項2となりました。
それは、途中で立ち上がられたので、思わず「どこに行かれるのですか」とお尋ねしたら、「トイレに行くだけ」と、私に囁くように言われたのです。「心配しなくても戻ってくるよ」と聞いた心地になりました。
お手玉の後は太鼓でアリランの歌を合唱して、ジャンケンゲームで終りました。

特筆事項3は、皆で別室に移動して、「蓮茶(はすちゃ)」のご接待に預かりました。茶道の先生が若いお弟子さんを何人か伴ってこられたようでした。綺麗な白磁のような鉢に蓮の花が中央に立ててあって、蓮池ミニ盤の中に煎茶の葉が広がって沈んでいます。味が出たところで柄杓でお茶碗に注ぎ分ける「お点前」を始めて拝見し、あたかも王宮に招かれた気分になりました。

紗のような美しい“ちまちょごり”が、ひときわ涼し気で、短時間でしたが、異国文化を味わうことができました。