一生忘れはしません

一生忘れはしません
気仙沼市反松公園仮設住宅でのスリーA予防ゲーム

気仙沼港を案内していただきその惨状を目の当たりにしましたが、その後も気仙沼では平坦な土地が少なく、仮設住宅用地が決まらずに多くの避難者は大変なご苦労だったそうです。

その状況を頭に入れての反松公園仮設住宅訪問になりました。午後12時を過ぎていましたが、前のイベントがまだ白熱状態のままの集会場でした。気仙沼市の対応が遅いのだそうで業を煮やした住民とボランティアさんが国へ直訴されたようでした。
13時過ぎに散会しました。集会場に午後またみなさんが集まってくださるのか心配でしたが、自治会の役員さんや子どもたち、高齢者の方々も約束の時刻には7.8名が集まってくださいました。

「子どもたちも大変なんだよ〜 広場という広場、各学校の校庭という校庭に仮設住宅が建って遊ぶ場所がなくなっているんだよ〜 此処も公園なんだよ〜」と開口一番、集会場を走り回る子どもたちを見ながら仰る方がありました。

13時半からの約束でしたので、時刻を過ぎてからの参加者が来られることを覚悟して開始しました。
始まりの時間をスリーAの話や私の母の話をしようとしましたが、参加者が増えていくので、話すほうも聞くほうも気が散り落着きませんでした。

とにかく此処は、元気を出していただくためにスリーA予防ゲームをしなければと、自己紹介、左となりの方の名前を言って自分を紹介する簡易自己紹介にして、○○さんの隣に居る私は福井恵子です。と初っ端の見本で始まりました。これだと名札がなくても、最初のお隣さんの名前を聞くだけで、あとは自然に名前が出てきます(健常者の場合)。

フルネームでの自己紹介が良いので、私を見本に次々と進んでくださいとお願いしましたら、スムーズに進みました。その頃には20名近くの方々が輪になり、小学生の女の子も、消え入るような小さな声でしたが「言えたねぇ〜」と子たちにも拍手で褒めました。

そして、皆さんの顔が「これから何が始まるのだろう?」と期待をしてくださっているのが判りました。

子どものときに初めて数を数えたのは、親指から順番に指を折り進み、広げていくやり方の1〜10です。大きな声で一緒に数を数えましょう〜と言うと、少し微笑みながら、子どもも大人もやってくださいました。「よく出来ましたね〜」と拍手をして声をかけると、笑い声も苦笑いもありましたが、とても素直な反応が返ってきました。

よし! 大丈夫、私の緊張感はないと感じながら、もう少し速めて1~10.「皆さん綺麗に揃いました〜」本当にみなさん素敵な笑顔で応えてくださいました。

右手の親指を折って、左手は広げてはじめる難しい1~10、普通の方だと案外難しい一つですが、出来る方が多くて驚きました。

2,3回やって、次は数え歌。

1・2・3~です。これも上手に出来る方が多いゲームでした。数え歌は、小学校の6年生が、知っていると言っていました。

2がチョキ、3が普通のサンになったりでしたが、皆さん参加してくれましたのでgood!

この頃、住宅では元気な90歳を超えるTさんが輪に入ってくれました。グーパー体操の「前がパー」は全員お上手!さてさて、「前がグー」はどうなるでしょうか?♪どんぐりころころどんぶりこ、おいけにはまってさぁたいへん〜〜〜♪皆さん大騒ぎです!出来ないねぇ〜どうしてだろう?とお隣通しでしゃべっています。

お一人だけしっかりできていた方が、なんと90歳を超えたTさんです! お隣の方にもう一度やってみてと促されて、
「こうだろう? どんぐりころころどんぶりこ〜〜」
と一人で歌いながら、つられて皆も声を出して一緒に歌いました。最後まで間違わずに遣り通されました。大拍手!! 凄い凄い〜〜 小学生もニコニコ笑顔で拍手していました。当のTさんは、両手で顔覆って恥ずかしそうでした。

初めてなのにこれほど間違わずにしっかり出来た方にお目にかかったのは、初めてです。私自身、前がグーはとても苦手でずいぶん練習したものでした。

Tさんのお蔭で、場は非常に賑やかに盛り上がりました。

皆で前がグーを何回かやって、次はチョキとグーを使って〜
右手がチョキ、左手グーでチョキの上にグーを乗せて、何に見えますか?「今の季節のカタツムリ〜」雨が降り出した表を指差して言う方も居ました。

新種も出ましたが、良い調子です。

かたつむりの歌は二番まで歌います、一番はあたま出せ、二番がめだま出せ。

茶壷はやりました。難しい〜と言いながらも割合うまくいくようでした。

グーチョキパー、私はこれのリードが苦手でしたが…やっとこつを覚えました。初めは小さくグーチョキパーパーチョキグー。今日はゆっくりしました!グーチョキパー、パーチョキグー〜〜。グゥチョキパァパァチョキグゥもうまく言えるようになりました。大汗かく人が出てきました。・・・ここら辺りがちょっと記憶があやふや、グーは肘をグーと引いて、チョキはちょっとだけ出してチョキ、パーはパーッと元気よく・・・飛ばしてしまったかもしれません。

自分と隣の膝をタッチのゲームです。

リズム2拍子はOKでしたが、お一方、男性で膝を広げて座っているので、「自分、右、自分、左」が〜〜自分だけで出来ているのです!自分の左ひざを打って、自分。自分の右膝をタッチして、右。自分の右膝を打って、自分、自分の左膝を打って、左」と。
「膝頭を揃えましょう」とお願いすると、揃えて「いや〜ん」などと冗談めいて周りを笑わせてくれます。カウボーイ姿が素敵な方です。そのカウボーイ姿の理由が後でわかりました。

リズム3拍子は、ちょっと戸惑う方も出ましたが、笑いが続出してよい雰囲気です。集中の的がカウボーイさん。正面に座っている方が、やり方が可愛くてと大笑い、両隣からは反対なんだから〜っと突かれて大笑いをしながら大汗をかいています。一気に大笑いで脳は活性化するし、親しくなって癒されています。

4拍子は富士山で、一回やって終わりました。

お手玉回し
お手玉を配ってもらいながら、後ろを向くと、3,4個を片手で上手に操っている方が居られました。久しぶりだからうまくいかないよと照れていらっしゃいました。子たちも遊んでいました。
右回りを一回、お猿の籠やで廻して、上手に回るので、「替えて」を緩急つけて大騒ぎでした。それでもなかなか溜まる人が出ないのは、とてもリズム感は良いのでしょう。3個溜まったのが最高でした。

輪になっての最後「ドジョウさんゲーム」

何人もの方に号令をかけていただき、盛り上がりました。数を数えないうちに「はい!」って言って、数は数えなきゃ〜なんて叱られている方も出ました。

輪になってのゲームはこれで終了して、言葉集めをお一人ずつ、言葉のかしらに「あ」の付く言葉を言ってもらいました。パスしても良いですよ〜と言いましたら、子どもたちがパス・・・あぁ〜パスなんて言わなくて良かったかな?

シーツ玉入れは、小さいサイズを持参していたので、子どもチームは後にして(今思えば、全員でキツキツに詰め合わせれば、出来ていたなと反省!)6名ずつのチーム分けにして競いました。片方が「あじさいチーム」もう片方が「Tさんチーム」でした。最初は大人しくゲームは終了。勝ち負けがはっきりすると、負けたほうは俄然張り切ります。スタートの合図の前に、シーツを持ち上げたり、小刻みに揺らします。どちらもTさんチームの勝ちでしたが、片方のためにもう一度・・・どちらが勝ったのか、記憶にないのは何故でしょう。

子どもチームは、大人のシーツ玉入れを見ていたので最初からエキサイトしています。揺らし方が激しく、ボールが飛んで出て行きます。お年寄りと一緒に参加するのは難しいかな?少しルールを厳しくすれば良かったかとここでも反省でした。

たすき取りじゃんけんゲームは、大げさな仕草で「最初はグー、ジャンケンポン」の見本を見てもらい、始めます。

勝てば最初は1本もらう、負ければ1本あげるを三人の方と・・・私の説明があやふやなのか、いつも三人でじゃんけんを始めたりしていて、反省です。

1本を違う方と三回、次は2本を違う方と三回・・・そろそろたすきがなくなる方が出ます。椅子を準備して、負けた方から順に座っていただきます。勝ち進んだ方は次々とじゃんけんをしています。3本を違う方と三回、最後は負ければ持っているリボンを全部あげます。わぁ〜きゃぁ〜きゃ〜賑やかににぎやかに進みます。お二方が残りました。お年寄りと小学生です。じゃんけん勝負は厳しくて、小学生が負けてしまいましたが、自分のリボンを潔く全部お年寄りに差し上げていました。

インタビューは最初に負けた方、如何でしたか?「とても楽しかったです!」とゲームが楽しかったことを仰いました。質問を変えて「じゃんけんは如何でしたか?」「いつも弱いの〜」「ここまで残ったのは初めて、とても楽しかった」口々に楽しかったことを言ってくださいました。

準優勝者の小学生は「悔しかった〜〜〜」と本当に悔しそうでした。普通の小学生だと、負けると泣き出してしまうのですが、仮設住宅暮らしではとても我慢強くなっているんだと、後でお聞きして、納得でした。

優勝者の勝利の言葉は、嬉しくてとても楽しかったとのこと。リボンの数は、一人5本、20名で100本、恒例のリボンが1本1万円で100万円、このお金が入ってきたら何に使いますか? 「旅行が好きだから国内旅行に行きたいです。北海道が好きです」とのことでした。準優勝者の小学生にも聞いてみました。ゲームの「ウイィ」が欲しいとのことでした。

今回の反松公園仮設住宅でのスリーA認知症予防ゲームは、これで終了しました。

この後は「対話法」の浅野さんにバトンタッチをして「お茶飲み会」になりました。

感想をお聞きしましたところ、とても楽しかったとの感想が多くて嬉しかったです。お一人の方から「この1年間に、さまざまな種類のイベントがあったけれど、今回のように、
自分たちが参加して簡単に楽しめるものはなかったです」と仰っていただき、私たちが望んでいる、簡単に出来て参加者皆が楽しめるスリーA予防ゲームがご苦労の多いこの仮設住宅でも受け入れられたことを心の底から嬉しく思いました。そして縁を繋いでいただいた、浅野さま村上さまにも感謝でした。出会った皆様のご縁をこれからも大切に繋いで行きたいと強く願いました。

また、参加した子どもたちは、最初「つまらなかったらどうしよう?」と呟いていたそうですが、最後のお茶飲み会にも参加してくれて、口々に「楽しかったよ〜明日又来て〜ね?」って言われてしまいました。大きな輪になり、伸び伸びと大笑いをして楽しい時間が気に入ってくれたようです。私たちも嬉しく、子どもに気に入ってもらえたのは最高の褒め言葉と受けとってもいいのではないかと浅野さまにも言われました。

お忙しかった村上さまは、最後の二つ、シーツ玉入れとたすき取りじゃんけんゲームをご覧になられて「あんなに楽しそうな笑顔は初めてです」とのことでした。

16時終了時刻で、皆さんは会場を後にされましたが、小学生たちは、ゲーム機を取り出して、なにやら楽しそうに。中学生か高学年の男子生徒は、奥の部屋でトランプなどして遊んでいました。お家ではなく集会場が子どもたちの遊ぶ場所になっているようでした。スリーAのゲームに参加した女児は、そばに来てゲーム機を広げ、わざと失敗してみたりして、一緒に遊ぼう〜とのアッピールをしていたようで、後から考えるともう少し声をかけて話せばよかったかと悔やんでいます。

最大の後悔は、左マヒの方が居られたのを見過ごしていて、お手玉回しのときに気が付きましたが、腕がだるくなったからなどと言われて輪から出て行かれました。本当に失礼なことをしたと後悔先に立たずでした。次には、必ずお隣にすわらせて頂き、二人三脚で楽しみましょう。

カウボーイ姿の似合うSさんは、外国の方からのカウボーイハットのプレゼントがあり、写真を撮るときにはその素敵なハットを取り出して被っていらっしゃいました。彼もお身内を多く亡くされていますが、二階にあったので残ったという、写真を見せてくださいました。綺麗な奥様、可愛いお孫さん…説明を聞きしながら涙が溢れて仕方がなかったです。そうそう、奥様が美容師さんだったので、よく肩を揉んでいたのでお上手で、皆さんの肩を指圧されておられ、私の肩にも指圧をしていただき、気持ちよく嬉しかったです。

大島の民宿がご実家だそうで、もうすぐ再開するから、遊びに行ってくれとも誘われました。

村上さまの車で会場を後にすると、参加してくれた3人の子らが、後を追ってくれて「さようなら〜さようなら〜〜」と手を振りながら、いつまでも追いかけてくれました。雨が降る中、傘をさしながら走る姿はいじらしくて涙が滲みました。きっと又来るねと心のなかで叫びました。

車中、村上さんのお話だと、ハザードマップ(危険地域)の地域に仮設住宅が建ち、それを市会議員も市も知らなかった、5月の大雨では仮設から避難するという事態まで発生して被害も出たとのことです。村上さんの家も被災され、2ヶ月間の避難所暮らし、壁に穴が開いていなかったので半壊にもならず、全て自費修理だったとのこと。ガスボンベが波に流されて家の中に入ってきたことが怖かったと話されていました。

気仙沼から仙台への高速バスの時刻まで、どこに案内しようかとのことで、一番辺鄙なところの仮設住宅、牧沢テニスコートの仮設住宅、直近バス停から急な上り坂・細道で1km先にあり、冬は−10度以下になり、エアコンが効かなかった、床からの冷えがきつく、炬燵に入っていて暖をとったようです。また、雪の時には、カチンカチンに凍って、鶴嘴で砕いてもらったとか、雪かきに早朝1時間半はかかったなど、ご苦労話に絶え間なかったです。

こちらの住宅は単身者、高齢者が多くて、いざというときのことを考えると・・・と自治会長さんが心配されていました。でも、隔週に整形のお医者さんや、生協の配達なども整ってきつつありますが、こんなところに仮設住宅を建てるのは問題で、1,2に気にかかる仮設とのことでした。

是非、次回は此処にもスリーAの笑顔をお届けできればと、お暇のぎりぎりまでお話を聴かせていただきました。

16日の長い一日は過ぎました。

17日午前は仙台を歩きたかったので、仙台城跡にいきました。そこには、仙台のお祭りすずめ踊りが笛太鼓で賑やかでした。スタッフのお一人が、
「何処から見えた? 京都から〜 そうか、京都か、大震災を忘れないように伝えてください」、ここでも忘れないようにと言付かりました。「京都のすずめ踊りとは違っているからよく見て行ってくれ!」 ぴょんぴょん跳ねる子どもの踊り手も居て楽しく見ました。

仙台城跡(青葉城)は地震で、石垣が崩れて、バスのルート変更をしているとのこと、また戦没慰霊碑の天辺の飾りが落ちて、修復はどうなるのかなぁ?とのことでした。伊達政宗の馬に乗った像は無事でした。

午後から講演会を聞いて仙台を後にしました。

17日は梅雨の晴れ間の晴天、仙台から東京、東京から京都ともに新幹線は満席状態で、予定より遅らせての乗車で帰り着きました。

気仙沼で出会った方々、スリーA予防ゲーム参加者から不自由な暮らしの中でも元気にされていることを見聞きして勇気を頂きました。そのお蔭さまで長旅なのに体は疲れているのですが、心は心地よい疲れでした。

ながながと書き連ねましたが、お読みくださって本当にありがとうございました。

(運営委員 福井恵子)