ある日、RはHの家に久しぶりに遊びに行きました。
そして、久しぶりにHの母Yと会ったのです。

YはRを一目見て、ちょっと(かなり)びっくりしました。
なぜって、Rはとっても素敵なナイスガイに成長していたからです!
思わず「まぁ、カッコよくなってー!」と言うと、Rはちょっぴり照れ笑い。
でも、Rは悪い気分ではなく、とても嬉しかったのです。

Yが、つい数年前の呼び名で「Rちゃん」と呼ぶと、Rは「ちゃんはつけるな」とムッとしました。
「じゃ、なんて呼べばいい?」とYが聞くと、少し考えて「Rでいい」。
敬称をつけず、呼び捨てして欲しいと言うのです。
その日から、「Rちゃん」は「R」になりました。
Hいわく、学校の友達はみんなすでに「R」と呼んでいるようでした。

その晩、Hの母Yは考えました。
“そうか・・・あのRちゃんが・・・性同一性障害(GID)?”
そして、Rの母親の顔が浮かんできました。
母親はRのことを受け入れられているのだろうか・・・
そういえば、父親は社会的地位の高い、その業界の第一人者。
Yの胸に不安がふくらんでいくのでした。

(つづく)