その頃、Rは空手を習っていました。
それを知っているHの弟2人は、Rが来ると空手ごっこをして遊ぶのを楽しみにしていました。
ほとんど毎日のように遊びに来ていたある日、Hのチビ弟(小1)がじーっと
Rを見ていたかと思うと、ふいにRを後ろからひっぱりました。

「ねぇねぇ、Rって男なん?女なん?」

Hは、聞かないフリして、黙ってマンガを読んでいます。
Hのデカ弟(小4)は、スーッとその場から消えました。
Hの母Yは・・・黙ってRを見つめていました。

しばらくの沈黙の後、Rは口を開きました。
「どっちでもいいやん!」

そのRの返事を聞いて、Yは、ククっと笑いました。
Rは、Yを振り返り、また空手の続きをはじめました。
Hのチビ弟は、納得したのかしないのか、またRに向かっていきました。

Yは、「そう、どっちでもいい。RはR」
そう心の中で繰り返しました。

どんなスタイルでも、RはR。Rらしければ、それでいいんだ。

(つづく)