子どもを守る 『子どもの可能性と力を信じる』

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小学1年生の女児が相次いで殺害された事件から、「子どもを守る」ことについて
マスメディアでも特集を組まれたり、
文科省からお触書が出されて学校での取り組みが強化されたり、
地域でも「防犯」に力を結集しているところは多いことでしょう。
また、様々な防犯グッズも販売され、
セキュリティ会社による子どもを守るサービスが開始されるなど
市場でもいまや「子どもを守る」商品開発が注目されています。

kiralaでは、子どもの性的な被害・虐待の相談が毎年年間200〜300件あります。
その実態に基づいてキララ☆ネットでも、一貫して子どもが受ける被害(特に性的被害)
について書いてまいりました。
でも、上記のマスメディアや文科省や地域や企業の視点とは大きく視点が違います。
そこで、もう一度まとめてみたいと思います。

—世間一般の「防犯に関する情報」—

これらの情報は、以下のことが前提となっています。
① 加害者が地域の外の人
② 加害者は子どもにとって「知らない人」
③ 加害者は「不審者」と呼び、外見上怪しく、怖く、ヘンに見える人
④ 加害者は大人である
⑤ 被害に遭うのは主に女の子
⑥ 被害に遭うのは、「一人の時」「建物の外」
⑦ 被害に遭うのは、被害に狙われるような装い、ふるまい、無防備だから

—kiralaでのケースから—
上記の番号に比較してみます。
①② 加害者は、家族、親戚、友達、知人、教師などとても身近な人
③ 加害者は、いたってどこにでもいる人で、社会的地位の高い人も多い
④ 加害者は小学生の場合もある
⑤ kiralaの統計では男の子からの被害の相談の方が女の子からの相談より多い
⑥ 子どもが被害を受けるのは、家庭、学校、親戚宅、友人宅など、子どもが本来
安心して過ごせるはずの場所であり、家族や友人や先生などがいる時
⑦ 被害者には落ち度はありません

次に、子ども自身が感じている気持ちについて。

子どもの年齢にもよりますが、子ども自身が自分が受けている行為が良くないこと
という認識が無い場合が多いです。そのため、表面化することは少なく、発見されにくく、
長期間被害を受け続けていることが多いです。
また、子どもも、加害者には親密感を持っており、時には子ども自身が自らその行為を
望むこともあります。

以上のことから、「子どもを守る」ということでは、「こうすればいい」という具体的なわかりやすい
対策というものは残念ながらありません。
今行われている「暴力防止」などの形式的なマニュアルは「見知らぬ人」が加害者であるという
前提にたって作られていますから、統計的にも「加害者は身近な人」が圧倒的に多い以上、
万能ではありません。
また、子ども関連の新種のサービスは、その場しのぎであるどころか、
子ども自身が本来持っている自己防衛力であるセンサーの力を奪ってしまいます。
そもそも、「子どもを守る」というのは、誰かが「子どもを守ってあげる」という視点に
たっているのではないでしょうか。
本来子ども自身が持っている可能性、力を信じ、
子どもの「自分を守る」力を損なわせることないかかわり

私達大人が心がけることが、求められていると思います。

今、もっとも問われていることは「子どもをどう育てるか」「大人が子どもとどうかかわらるか」
ということではないでしょうか?