子どもを守る 『子どもの可能性と力を信じる』に書きましたが、子どもが本来持っている可能性と力を育てることが、子どもを守るためにはもっとも大切だと考えます。
万全な環境を作り、子どもを囲いこんでしまうと、子どもの成長を阻害してしまうというまた別の問題が生じてきます。
成長を阻害された子どもは、社会適応し難くなりますし、そうすると危険への対応も鈍くなります。
自分自身を守ることで何より重要なのは、「危険」を察知する能力です。
自分にとって「安全」「信頼できる」人かどうかを判断するには、「危険」を察知する能力に
かかっていると言えます。
たとえどんな武器を持っていても、「危険」と感じなければ使わないでしょう。
では、危険を察知するためには・・・
動物にはもともと様々な防衛機能が備わっています。
人間にもありますが、動物よりその機能の働きが弱いことはご承知のとおりでしょう。
しかし、弱いなりにも本来生まれ持った機能があるにはあります。
その機能をしっかり働かせることが、「自分を守る」ことにつながります。
子どもが、自分が持っている防衛センサーをしっかり働かせるためには、
まず、子ども自身が他者から大切に扱われることが大前提です。
赤ちゃんの頃の「快・不快」の感覚を、泣いたり笑ったりすることで他者に伝え、
その結果として不快を取り除いてもらう、快が持続する、という経験から始まり、
他者と「快・不快」のキャッチボールが適切に行われることによって、
自分の感覚を成長させ、他者への信頼感を持ち、自らを大切にすることを
学習していくのです。
この「自らを大切にする」ことができてはじめて、人は外敵や危険から自分の身を守ろうとします。
しかし、それだけでは不十分です。
幼児期になると、遊びの中で恐怖を感じたり、危険な目に遭う経験をするようになります。
遊びや日常の中で、「畏怖」を経験し、克服する体験がとても大切です。
『転ばぬ先の杖』ではなく、子どもが石につまづいてころんだ時は、
手を貸さずに転んで立ち上がるのを、そばでじっと待つこと。
涙で顔もぐちゃぐちゃ、怪我して血がタラタラ、服もドロドロ!
そんな経験を積んでこそ、石(危険)に気づき、石(危険)を避けるようになるものです。
そして、「よくがんばったね!」と自分で立ち上がったことをほめてくれる大人の存在で、
その子は自分で危険を克服することへの快感を身につけていきます。
もちろん、一人ではどうにもならないことも出てきます。
その時は、大人がそっと手を添えてみる。
この「そっと」がコツですね。
まとめると、自分にとって、安全かどうかを判断する、あるいは危険を察知するには、
次の4つの能力を育てることが大切です。
(%ハート%)信頼できる他者とのつながりとは何かを体験的に知っている
(%ハート%)「不快」に対して敏感になり、適切な対処ができる
(%ハート%)「危険」「恐怖」に敏感
(%ハート%)「不快」「危険」「恐怖」に対する適切な対応(近づかない、逃げる、戦う)ができる