—女性が強姦に遭った時の初期的対応について—
強姦とは、望んでいないのに、相手(加害者)から無理やり膣に相手のペニスを挿入されることです。
強姦は、被害者が女性に限定されます。
統計的にも、加害者は友人、学校の先輩、職場の上司など、知っている人であることが多いです。
恋人、夫であっても、あなたがそう思うのならば、「強姦」になります。
強姦は、暴力を受けて行われるものというイメージがありますが、
相手に抵抗不能な状況を作られて、言葉巧みに交換条件で、
応じないと悪いことが起こるなどとマインドコントロールされて、
セックスに応じさせられることも「強姦」になります。
あなたは悪くありません。
悪いのは、加害者です。
*女性というより、「膣がある人」と書いた方が適切かもしれません。
*男性から女性に性別移行したトランスジェンダーの人も適用されるはずです。
この場合、戸籍の性別記載が男性のままの場合はどうなるのか・・・調べてみます。
(%緑点%) 警察へ
・女性専用の相談窓口に電話をかけてまず相談する
・110番通報する
・警察署に行く(被害にあった場所の警察署が管轄になりますが、どこの警察署でも対応してもらえます)
基本的には女性の警察官が対応してくれるようになっています。
もし、担当の警察官の対応に疑問を抱く場合、担当者を変えてもらうよう希望しましょう。
*強姦は「親告罪」なので、被害届を出さないと「被害」として認定してもらえません。
*加害者を逮捕するには、「告訴」をします。
(%緑点%) 産婦人科を受診する
トイレに行かず、シャワーもせずに、すぐに診察を受けるのがベストですが、
数日経ってからでも診察を受けましょう。
傷の治療、証拠の収集、緊急避妊薬の投与(被害時から72時間以内が有効)、
性感染症の検査、性感染症予防薬の投与、
HIV、梅毒の検査(感染直後は検査にウィルスが出ませんので、被害後12週間経ってから)など。
診断書を作成してもらえます。
*自費診療になりますが、自治体によっては費用を負担してくれる制度があります。
*証拠収集は、犯人逮捕にとても役立ちます。
*告訴する・しないにかかわらず、その後の健康のために、必ず受診しましょう。
*どこの病院でも診察できるとは限らないので、警察から病院の紹介を受けるか、
電話で問い合わせてから行くようにしてください。
(%緑点%) 性暴力相談機関(行政・民間)に相談する
一人で苦しまないで、相談してみましょう。きっと力になってもらえます。
警察に相談しにくい場合、相談したけれどその対応に疑問がある場合、
もっと話を聞いて欲しい場合、不安がある場合なども強い味方になってくれます。
各自治体に「女性の相談窓口」があります。
kiralaのほかに民間の相談機関がいくつかあります。
(%緑点%) カウンセリングを受ける
性的な暴力を受けた場合、直後から様々な症状が出現します。
眠れない、外出が怖い、一人になれない、人が怖い、男性が怖い、
食べられない、幻聴、妄想、悪夢、嘔吐、
その時を思い出す物を見たり聞いたりするだけで、恐怖に襲わる(フラッシュバック) など
話すのも、思い出すのも辛いでしょうけれど、話しをすることは不安や恐怖を軽減するには
とても役に立ちます。
警察に被害届を出そうか・・・告訴しようか・・・と悩んでいる場合は一緒に考えてくれます。
専門的な知識を持たない家族・知人に相談して、反対に混乱してしまうこともあります。
このような混乱を「二次被害」と言います。
もともとの被害に輪をかけて、苦しむ場合もありますから、早めに専門家の力を借りましょう。
ただし、一般の臨床心理士やカウンセラーは、性に関する相談を受けない場合が多いので、
被害の詳しい話をする前に「性暴力被害の相談は可能ですか?」と尋ねてみましょう。
(%緑点%) 再被害を受けないための対応をする
被害を受けてそのままにしていると、再被害を受ける可能性があります。
職場、学校、家族など、加害者が身近な人の場合、再被害に遭う危険は高くなります。
一刻も早く関係を遮断しましょう。
再被害を受けないためにも、被害後すみやかに警察に届けることをお勧めしますが、
被害を受けた直後は冷静な判断ができませんので、まずは信頼できる人に相談し、
力になってもらうのがいいでしょう。
どなたにも相談できない場合は、相談機関に相談してみましょう。
(%緑点%) 弁護士に相談する
警察に単独で行ってももちろん対応してもらえますが、
あらかじめ弁護士に相談し、代理人になってもらうとスムーズに行く場合が多いです。
まず、被害の状況、証拠、相手との関係性などをかんがみて、法的にどのような措置がとれるかを
説明してもらえます。
大きく分けて3つの方法があります。
①刑事告訴(加害者を罰して欲しいと訴えること)
②民事提訴(慰謝料、医療費などの賠償金を請求する)
③和解交渉(裁判をしないで加害者と話し合いをもつ)
被害状況や証拠状況などによって、とれる手段に限界がありますし、
それぞれリスクやデメリットもありますので、
どのような方法がとれるかを、弁護士としっかり相談して決めましょう。
最終的に決めるのは被害者です。
弁護士なら誰でも引き受けてくれるとは限りません。
性暴力相談機関に相談すると、性暴力に精通した弁護士を紹介してくれる場合もあります。
(その機関によります)
あるいは、都道府県に「弁護士会」がありますので、「性的な被害で相談したい」と言って、
適切な弁護士を紹介してもらいましょう。
(%緑点%) 被害者が子どもの場合
加害者が親などの身内、教師の場合は、管轄の児童相談所に通告します。
加害者が特定できない場合でも、もしも、子どもが被害を受けたことがきっかけで、
外出をこわがったり、人を怖がったりする場合、
被害を他人に話すことはためらわれる場合が多いと思いますが、
学校と管轄の児童相談所に相談し、子どもの心のケアを受けると共に、学校生活への
配慮を求めましょう。
担任の先生でなくても、養護教諭や隣のクラスの先生でも構いません。
静かにそっと話を聴いてくださり、学校内で対応してくださりそうな先生に相談し、
協力を求めましょう。
子どもとの話の仕方はこちらをご参照ください。
(%緑点%) 日常生活に無理がある場合無理せず協力を求める
日常生活が全くできなくなる場合もあります。受けた被害のダメージからすると、当然のことです。
一人でがんばらず、周囲の人に協力を求めましょう。
その際、必ずしも被害事実を全て打ち明ける必要はありません。
「今、体調を崩していて」「精神的に辛くて思うように身体が動かない」
「今は話せないけれど、とても辛くて普通でいられないの」
「あなたに話たいけれど、今は上手に話せない」など
前置きをして、今は黙って協力だけしてもらえるようにするといいでしょう。
(%緑点%) 決してあきらめないで
警察、相談窓口、カウンセラー、弁護士など、様々な専門家のご紹介をしましたが、
どことも、万人に対して万全を尽くせるとは限りません。
被害者との相性もあります。
もしも、思うような対応が得られなければ、あきらめず、別の担当者、別の機関に
相談してみてください。
必ず、力になってくれる人と巡りあいます。どうぞ、あきらめないで。
心の傷は、必ず恢復します。
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