『14才の母』がもっぱらの話題ですね。

この番組が投げかけるものは、とても大きいことを実感しています。
講演に行っても、「いじめ」に並んで話題に出るのが『14才の母』。
一般の方々から見ると、主人公の未希は「普通の女の子」(公式サイトより)というのが
多くの人の共感を呼んでいるのではないかしら??

10代の子どもがいる家庭の親にとって、「14才の妊娠」は、
「もしもうちの娘だったら・・・」という想像を掻き立てられるかもしれません。
「うちの子に限って」と強固に信じている親でも、子どもの友達で幾人か顔が浮かんでくる、
あるいはすでにそんなケースを身近に見聞きしていて、その子のケースと比較しながら、
番組批評をしているでしょうか。

10代の子どもがいない人たちにとっても、
昨今の10代の子ども達の「性」が乱れている(?)というマスコミの報道で、
「普通の子どもまでも・・・とうとうそこまで」と危機感を抱いているでしょうか?

では、思春期に携わる各専門家はどうかというと・・・
先週、ある研修に行った時も、やっぱり!話題になりました。
医療関係者が多く集まっていたので、「14才の妊娠」はドラマの世界ではなく、
日常的な事柄であるため、冷静にドラマの分析をしました。
「主人公が、なぜそこまで生むことに固執するのかが明確じゃない」
「実際にはもっと現実的なことで生む・生まないを選択するよね」
「作り手の『命を大切にしよう』スローガンが前面に出すぎ」 などなど、
とてもシビア〜な意見がゾロゾロ・・・(%ニヤ女%)
最終的には「ま、ドラマだし」で落ち着きました(%ニコ女%)
実際のそれぞれの「現場」は、また違った「ドラマ」があるようです。

この『14才の母』には「愛するために生まれてきた」という副題があるのをご存知ですか?
12/13の放送で主人公の未希もそのようなセリフを言ってましたし、
公式サイトで志田未来ちゃんが「命とか愛とかの大切さを伝える番組」と言ってます。
このドラマの製作の意図は、14才の少女の「妊娠・出産」を通して、
「命」とは・・・「愛」とは・・・
10代の子ども達だけでなく、大人にも投げかけることなのでしょう。

一方、プロデューサーの村瀬健さんは、番組の企画段階で、
「青少年の性行動を助長させるのではないか」と批判を受けたと公式サイトに書いておられます。
実際に助長していると見る専門家もいますし、影響はあります。
しかし、ココが大切なのですが、
「14才の妊娠」は、統計上の数は少ないですが、「特別珍しいこと」ではありません。
ドラマは、現実の反映である面もありますし、またドラマが投げかけた問題は、
「命」「愛」だけでなく、もっと様々なものがあったと思います。
たとえば、現実によく見られることですが、
・相手の少年は変わりなく通学できているのに少女だけが私立中学を退学に追い込まれたこと
・近所のうわさが先行し家族の生活に支障が出ること
・子どもの認知の問題

『14才の母』を見て一時的に盛り上がるだけではなく、
10代の性感染症の罹患の増加、HIVの感染者数の増加、性行為の低年齢化など
危惧されている10代の性について、マユをひそめるだけでなく、
「ドラマの世界」に感動しているのでもなく、
現実にある問題として、そういう課題を抱えている子ども達はどうしてそうなったか?
その背景は何か?「その後」の人生はどうなっているか?
などを考えてみませんか?(%ひよこ%)(%ひよこ%)(%ひよこ%)