舞い込んだ「なつかしい人」

新聞で「1.17」の記事が続いたいた数日。

ある記事に目がとまった。
震災以降連絡が途絶えていた仲間の名前がそこにあった。
自身も重症を負い、家と大切な家族を失い、この地から去った人だ。

ふいに舞い込んできたなつかしい名前に心が躍った。
「元気なんだ」
なつかさと安堵が広がる。

この12年が数行にコンパクトにまとめられていた。
絶望のなかでも懸命に前を向いてきた姿が描かれていた。

震災以降、目に見えて街が大きく変わった。
今は探さないとその跡も見えない。
そして、目に見えないものは、もっと大きく変わった。

「生き残った意味」
それを、激震を経験した人は、それぞれ探してきたことだろう。
新聞記事の仲間は、しっかりそれを見つけたようだ。
そして、それは、とても身近なもの。

生きる意味、幸せは、本当はとても身近に、そっとあるものなのかもしれない。
「1.17を生き抜いた」
それだけでも、何にも変えられないくらい、尊いこと。

そして、去った魂も、その人の身近な人の心の中で、ちゃんと生きている。