今日から3日間、潮芦屋の露地物市場に出店する集落をご紹介します。
まずは「行頭」(ユクトウ:上郡町)から!
【場所は?】
上郡町の西部、岡山県備前市との県境に位置し、千種川の支流である安室川の源流域に位置する山間集落です。上郡町役場から西に約12km、県道385号線沿いに行頭・延野の2隣保で集落が形成されています。(写真は延野隣保)
【どんな集落ですか?】
安室川源流の地としての豊かな水と緑に包まれた地域です。地域には安室ダムを始め、鳳宮池の滝、三十八滝、ホタルなど豊かな水の景観が見られます。緑豊かな山林には、様々なキノコや山野草が見られます。
安室ダムでは毎年7月に地域おこしイベントとしてダム祭りが開催され、様々なイベントが企画され、多くの人々で賑わいます。(15年継続)
かつては養蚕、炭焼きが盛んで、味噌、豆腐、こんにゃくは家庭で作っていました。
【おもしろい言い伝えがあります】
(火事とお酒)
行頭(延野隣保)では、正月3が日は家で酒を飲んではいけないという言い伝えがあります。
大昔に火事で延野が全部焼けてしまったのです。その時、むらの皆さんは「正月3が日はお酒を絶対飲まないようにしますから、二度とこんな火事が起こらないようにしてください。」と神様に約束しました。
後にその約束を破って、正月にお酒を飲んでしまった人がいました。すると火事になってしまったそうな。
今でも、延野の皆さんは正月3が日に家でお酒を飲みません。もちろん、お客さんが来られてもお酒は振る舞いません。お酒そのものも家の中に置かずに、納屋の陰の方に置いておきます。そして、正月の4日目になって初めてお酒を飲むことができます。
(歯痛に効く五輪さん & 牛神さん)
船坂小学校行頭分校跡西側の小高い丘に「ノリムネさん」という赤松一族の武将の墓と伝えられている五輪さんがあります。
この五輪さんには、削り取られた跡があります。1ヵ所は穴になっています。これは、五輪さんに祈願すると歯痛が治ると伝えられ、村の人は歯が痛くなると墓石をのみで削り、口に含んだそうな。すると痛みが止まったと言われています。
写真は五輪さん。ぽっかり穴が開いてるでしょ。ムラの人も「子どもの頃、歯に塗りつけてたよ。ほんならほんまに歯痛が治った。」って言われてました。うそのようなまことの話。
五輪さんの横には牛神さんが奉られています。まわりに小さな焼き物の牛が置かれており、よその牛神さんにお参りしたたびに買ってきて、奉ったものだそうです。
(鳳宮池の人柱)
江戸時代の中頃、行頭を含む船坂地域は慢性的な水不足であり、少し日照りが続きと干ばつに見舞われ、農作物の収穫は皆無でした。人々の生活は厳しく、悲惨な日々を過ごしました。
赤穂藩では鳳宮池の拡張工事を進めたが、造ってはたまの豪雨で堤が決壊し、なかなか完成しませんでした。「どうだろう、人柱を立てては?」
しかし、人柱なんて見つかりません。「わしの娘を人柱にたててくれ。」その名主には12歳になる「しの」という一人娘がいました。しのは悲しそうでしたが、一言も言いませんでした。
しのは人柱として犠牲に。その後、工事は無事完了しました。人々は池のほとりに地蔵を建て、しのの霊を慰めたといいます。
こうしてできあがった鳳宮池の水は、行頭を抜け70町歩の船坂の田を潤しました。