政策提言のための会議って—「WWViews in Japan」の検証から

さて前回はcop15の前哨戦として、日本で行われた(世界中で同時に行われた)WWViews in japanの検証会を通じて、感じたこと、考えたことについて述べました。多少デンマークさんにとっては辛口の論評だったかもしれませんが、そのイベントに関して、そのやり方にはいろいろ勘ぐってみたくなるような個所があったので、つれづれなるままに考えてみました。ただ実際の会議では結局中国や米国の大国の論理の方が優先された感があり、デンマークさんの頑張りからすれば多少ほろ苦い結果に終わった感があります。

 ただごねながらも中国と米国をある程度巻き込むことが出来たという点では、コペンハーゲンでの会議も意味があり、その前哨戦のWWViewsも意義があったという見方もできます。環境問題はこれから全世界的に無視できないテーマとなり、ますます外交的にも経済的にも重要になってくると思うので、日本もぜひイニシアティブをとって、その存在を世界に見せつけてほしいものです。

 話を本題のWWViews in japanに戻しますと、前回にも言った通り、このイベントの目的として掲げられたのは、市民による政策提言ですが、その他にも、普段あまり興味のない人にこの機会に環境について考えさせる、つまり教育的な目的や興味を持たせる目的等も考えられます。

 このイベントを検証した会議の中で、今回のイベントでは市民に政策提言をさせるという目的よりも、実際にはあまり興味のなかった人達に興味を持たせ、学びの機会を与えたという効果の方が高かったのではないか、という意見を述べました。

 実際去年の11月25日に参加した検証会の中でも、アンケートの二割くらいはその結果に具体性がないなどの理由で不満だという結果が報告されましたが、そのイベントを通じて自分の行動を変えたいといった意見も見られたということです。専門家や利害関係者でもない人を選ぶ利点は、政策提言のためよりもむしろ啓発の部分にありそうです。

 もしも政策提言を目的に市民のミーティングを行うのであれば、今回のWWViews in japanを参考にして考えると、①一日のみの会議ではなく日を空けて何度かの全体会議を行い、一人でもじっくりと考える時間を与える。②専門家の意見や客観的なデータを与える。その場合なるべく多くの視点からの情報を吟味するために対立する意見やデータも積極的に取り入れる。③出来ればある程度議論が深まった時点でテーマごとに部会を作り、全体会議とは別に研究会を作る…等の方法がベターかと思います。

 ③に関して、実際のWWViews in japanでは気候変動の影響、長期目標と緊急対策、温室効果ガスの排出に対する方策、技術と適応策にかかる費用、という四つのテーマについて、全てのグループが四十分位ずつ話し合い、あらかじめ決められた選択肢の中から妥当だと思われるものを選ぶということをしたそうですが、まず選択肢が妥当なものであったかという問題を置いておいても、これらの四つのテーマを各四十分で話し合い、何かを決めるということはかなりハードな印象がありますし、またそこで決まった(決められた選択肢の中から選んだ)結果が参加者の出した結論である、と断定するだけの正当性があるのか、ということになります。

 今回は環境問題という一見我々の生活とは直接は関係ない(いや関係ありAliだ!、という声もあるかと思いますが)テーマですので、②で述べたようにしっかりと専門家等から様々な視点、視座からの幅広い情報と、①で述べたように、議論を通じて深く考える時間を与えることが、会議(特に政策提言などのはっきりとした、大きな目標をもった場合の)を行う際には必要になると考えられます。

 ただ会議といっても、まちづくりや地域の問題解決などのワークショップやミーティング等に関しては、また違った手法が適している場合も多々ありそうです。様々なタイプの市民参加の会議についてもまた考えていきたいと思います。

 「WWViews in Japan」の検証会の概要はこちら