「OSTをどう料理するか」より—事例検証3

前回述べました「企画のねらいとOSTの整合性をどのように見るか?」という論点から見ていき、そこから見えてくる問題点から「どこまでOSTが応用可能なのか」を考察していきたいと思います。

 ディスカッションの部分を担当された鈴木ファシリテーターはこの企画のねらいの一つとして、日頃交流の無い他団体とつながることがあるのではないか、と解釈されました。

 ディスカッションが情報交換会のようになった理由の一つとしては、「日頃交流の無い団体」といきなり会って、共通の問題解決のために議論することが、時間的な面を含めて困難であった、ということもあるかもしれません。

 今回の事例の合宿のテーマが「あなたと国際協力をつなぐものは一体なに!?」ということから見て、参加者は国際協力に関わっていたり、興味のある人たちであると想定されます。恐らく企画者はそういう人たちは類似点のある問題意識を持っているので、お互いに協力しながら具体的な解決策を探していくのだろうと予測して、その方法としてOSTを使ったのかもしれませんが、現実的には意見交換会や交流会になってしまったところを見ると、そもそも最初の段階でメンバーがそれ程同じような問題意識を共有していたのか、という疑問が残ります。

 二回行われたディスカッションのメインテーマは「私達の世界を豊かにするための将来の課題と機会とは?」というものでした。このテーマをもとに「多様な視点からの様々な意見が飛び交うことを期待しています」、とこのイベントの告知の文の中で述べられています。それであるなら情報交換会や交流会になったことは、企画者の意図に沿っており、その目的は達成されたことになります。

 しかしではなぜわざわざその前に中田氏の事実を聞く質問法を学び、OSTを使ったのか、ということになります。

 まとめとして、恐らく何か問題があるとするならば、他人同士が交流を深めるということと、幅広い意見から意見を出し合うということと、具体的な問題解決のために行動をするということをまとめて一回で達成しようとしたところにあるのではないか、という感じがします。

 では次回は「どこまでOSTが応用可能なのか」について今回の事例についてつれづれなるままに考えていきたいと思います。

 どうやら最後に近づいてきた気配がしますな(%涙%)(%月%)