農地が消える/3 農地、消えたらどうなる?

農地が消える/3 農地、消えたらどうなる?
 ◇食料自給率が下がってしまう
 農地が減るとまず心配なのは、農作物の生産量が減ること。現在のところ、主食の米は100%自給(国産だけで賄うこと)している。これに対し、パンなど多くの食品で使われている小麦の自給率は14%。大豆は5%のみとなっている。

 ◇自然災害につながる恐れも
 山あいの水田や畑は、農村の美しい風景をつくっている。豊富な水で動植物をはぐくむという役割もあり、農地は自然環境面で大きな役割を果たしている。雨水や地下水をためてダムの役目を務める一方、洪水防止につながる働きもしている。人口が減って手入れが行き届かなくなった農地や山林は、水をためこむ力を失い、洪水を招いたり地滑りを食い止められなくなったりしている。思わぬ自然災害につながると指摘する専門家もいる。

 ◇農家に国が「米つくらないで」
 1970年以降、米の生産が増えすぎたため、政府は水田があっても農家に米を栽培させない減反政策を行ってきた。これを「生産調整」という。

 米を植えなくなった田を「休耕田」といい、政府は別の農作物を植えるよう呼びかけてきた。しかし、農業以外の収入で生活する兼業農家を増やす原因となったとも指摘されている。政府は農家に減反する面積を割り当ててきたが、2007年には具体的な面積を提示しないことになった。現在は農家に米の生産を抑えるよう呼びかけるにとどめている。

 ◇日本の原風景「棚田」

石川県の白米の千枚田 坂になっている土地に作られた水田を棚田という。一つ一つの田の面積は狭く、規則正しく並んでいる様子から「千枚田」とも呼ばれている。

 日本には全国に約22万ヘクタールあり、農業用に耕されている土地の4%を占め、日本の原風景として観光名所も多い。

ニュースがわかる 2009年5月号