【先生に聞く 腸イイ話 乳酸菌と免疫力】
(3)善玉菌増やしてがんを抑制
腸には免疫細胞の70%が集中しており、NK(ナチュラルキラー)細胞の宝庫となっています。つまり、腸を制するものが健康を制するともいえます。
腸の中には約500種類、100兆個の細菌が常時すんでいるといわれます。
菌は善玉菌、悪玉菌、どっちつかずの日和見(ひよりみ)菌の主に3種類。悪玉菌は、下痢や便秘を起こし、発がん性物質を生産するなどさまざまな悪さをします。
一方、善玉菌は消化吸収を助け便秘や下痢を防ぐ、ビタミンやホルモンを生成するなど、私たちの体を健康にするために働いてくれます。
悪玉菌を減らし善玉菌を増やすのが健康への近道といえます。
善玉菌の代表格が乳酸菌やビフィズス菌です。
生まれてから数週間の赤ちゃんの便が黄色っぽく、甘酸っぱくて臭くないのは、お母さんのおっぱいしか飲んでいない赤ちゃんの腸内が、ほぼ善玉菌だからです。
離乳食を口にするようになると、腸内細菌のバランスが大人に近づき、便の臭いも悪臭に変わります。
さらに、年を取るとおなかの中の善玉菌はどんどん減り、悪玉菌が増えてきます。
また、胃がんの人の腸では、ウェルシュ菌という悪玉菌が異常に増加していることが確かめられています。
一方で、善玉菌が多いと風邪などの感染症やがんにかかりにくいという調査結果もあります。
ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株を含む乳酸菌飲料やヨーグルトをとり続けると、大腸がんや膀胱(ぼうこう)がんの抑制に働くことがヒトの体で証明され、医療の現場にも取り入れられています。
腸内環境を改善するために、毎日乳酸菌をとることをおすすめします。
(順天堂大学医学部免疫学 特任教授 奥村康)