血糖値を下げる食習慣
日本では成人の5人に1人が糖尿病または糖尿病予備軍であるとされ、今や糖尿病は国民病ともいわれています。
糖尿病は血液中の糖、つまり血糖値が高くなってしまう病気です。
血糖値が高い状態が続くと、血管にダメージが加わって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるほか、悪化すると失明したり、腎症を起こして人工透析が必要になることもあります。
予防には食べすぎないことがいちばんですが、毎日のちょっとした心がけでも血糖値を下げることができます。同じ量を食べても血糖値に差がつく食べ方のコツを身につけましょう。
でんぷんなどの糖質を食べると、消化されてブドウ糖として血液に入り、血糖値が上がります。
正常であれば、ここでインスリンというホルモンが分泌され、糖を細胞に取り込んで血糖値を下げてくれます。
ところが、このインスリンの効きが悪くなると血糖値が下がりにくくなり、糖尿病になります。
最近では、健診のときには正常値でも、食後に異常に高血糖になる「隠れ糖尿病」も問題になっています。
食後の血糖値の急上昇を抑えるには、摂取エネルギ−を減らすだけでなく、食材の選び方や食べ方に気を付けるだけでも効果があります。
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食物繊維はほとんど消化されずに消化管内をゆっくりと移動するので、一緒に食べたものもゆっくりと消化され、血糖値の上昇を抑えることができます。
特に、水溶性食物繊維は粘性があるので、血糖値の上昇を抑える効果が大きいのが特徴です。
水溶性食物繊維は海藻や果物に多く、海藻ではわかめや昆布など、果物ではいちごやマンゴー、プルーンなどに豊富です。
なかでも海藻は、エネルギーがゼロに近いので肥満予防にもよく、糖尿病対策にはぴったり。積極的に献立に取り入れてください。
ご飯やパンなどの炭水化物食品を、酢や、牛乳などの乳製品と一緒に食べると、炭水化物食品だけを食べた場合よりも血糖値の上昇を抑えられることがわかっています。
牛乳はミルクシチューなどの定番だけでなく、味噌汁の隠し味にひと匙加えたりしてもOK。
酢は酢の物はもちろん、炒めものにひとふりすれば、風味もよくなります。
食前や食後に摂っても効果があるので、食前にお酢ドリンクを飲んだり、食後のデザートにヨーグルトを選んでもよいでしょう。
朝、昼、晩と3食を規則正しく食べることも基本です。
一度にたくさん食べると血糖値がぐんと上がってしまうので、1日に必要な食事量を3回に分けたほうが血糖値を抑えられます。
また、食後に上がった血糖値を次の食事までに充分に下げておくには、食間に一定の時間をおくことも大切です。
最もよくないのは、朝食を抜いて、夜遅くにたくさん食べてしまうこと。これでは、午前中は血糖不足になり、夕食後は血糖値がぐんと上がります。
夜は活動量も少ないので糖が消費されず、夜間に長く高血糖状態が続く原因になってしまいます。血糖値対策には、夜は食事量を控えめにするくらいがおすすめです。
早食いすると糖が一度に吸収され、一気に血糖値が上がってしまいます。食事はゆっくりと食べて、血糖値の急上昇を防ぎましょう。
よくかんで時間をかけて食べれば、かんだ刺激で満腹感が増すので、食べすぎを防ぐ効果もあります。
食事のときは最初に、海藻や野菜などの食物繊維が豊富な食品から食べ始めましょう。
その後も主食のご飯や、おかずの肉、魚などと交互に海藻や野菜を食べるようにすると、食物繊維のゆっくり消化の効果を十分に活かすことができます。