ソーシャルメディアの歩き方
ヤフーが池上彰さん的ニュースサイトを新たに作る理由 ブロガー 藤代 裕之 (1/2ページ) 2013/9/19 7:00 記事保存
ヤフーが4月、新たなニュースサイト「THE PAGE(ザ・ページ)」をスタートさせた。ニュースの作成には取材や編集など時間もコストもかかることなどから、同社のヤフーニュースは従来、主として新聞社や通信社などの外部から調達して掲載してきた。
ただ、ネット上にあふれるニュースでもカバーし切れていない領域がある。物事の本質や論点を分かりやすく解説した記事だ。新サイトでは、「気になるニュースをわかりやすく伝える」をコンセプトに、解説記事を自前で作成し、掲載している。
■仕方なく始めたニュースサイト
「ザ・ページ」を説明するワードリーフ社長の奥村倫弘氏
ヤフーの既存のニュースコーナーは月45億ページビューという膨大なアクセスを誇る。ただ、掲載しているニュースは自社で作成しておらず、新聞社や通信社、各ニュースサイトから配信を受けている。
掲載本数は180媒体から1日3500本以上にのぼる。編集者はその記事に、タイトルや関連リンクをつけて「トピックス」として紹介する。独自コンテンツを作るポータルサイトもある中で、ヤフーは外部の記事を紹介する編集に専念してきた。
昨年9月には個人が記事を書く「Yahoo!ニュース個人」もスタートし、多様な記事があるはずにもかかわらず、なぜ新たなニュースサイトを自前で作る必要があったのか。ザ・ページを運営するワードリーフ(東京・港)の社長で、『ヤフー・トピックスの作り方』の著書もあるヤフーメディアサービスカンパニー編集本部長の奥村倫弘氏に尋ねた。
奥村氏は「ニュースを分かりやすく説明してくれるコンテンツを探していたが存在しなかったので、仕方なく始めた」と打ち明けた。ザ・ページのコンセプトは「気になるニュースをわかりやすく伝える」だ。
■池上彰さんを意識した「ニュースの副教材」
トピックス編集の経験から、日々のニュースが断片的になり「そもそも何が問題なのか」が分からなくなっていると感じていたという。
配信社は増え、個人も記事を書くようになり、専門性の高い記事も増えた。個別の記事は質量ともに充実したにもかかわらず、かえってニュースの断片化が進んでしまった部分があった。
「トピックス編集時には、色々なサイトから関連リンクを見つけて、目を通してください、という期待を込めて紹介しているが、全部読んでくれる人は少ない。それでも、集めることに必死で、捨てることが出来なくなってしまっていた」
ヤフーニュースのような多くの利用者がいる媒体の場合、ユーザーはニュースを詳しく知りたい人ばかりではない。どちらかといえば、話題の情報を広く知っておきたいというニーズも強い。
奥村氏によると、選挙時には、参院と衆院の違い、投票の仕方、といった検索キーワードが増えるという。テレビでは池上彰さんが話すような、分かりやすい解説が受けているが、ネットでは空白地帯になっていた。