みんなの○○:お箸 食べ方 美しい所作は世界に誇る文化

みんなの○○:お箸 食べ方 美しい所作は世界に誇る文化

毎日新聞 2013年11月27日 東京朝刊

小鉢、小皿は手に食べる、手皿は避ける。

世界の人口の約3割が箸を使っているという。モンゴルでは箸と肉用のナイフ、中国はご飯は箸で菜類はスプーン、朝鮮半島は逆にご飯はスプーンで菜類は箸を使う。日本のように箸だけを使う文化は珍しい。

 「日本人は体の一部の感覚で箸を使ってきました。これが特有の手先の器用さにつながってきたのではないでしょうか」と国際箸学会幹事で、箸講師の鈴木道こさんは指摘する。

 飛鳥時代から使われてきたといわれる箸の文化を大切に継承していくことは、今、必要なことだ。

 和食は基本的に、一口で食べられる大きさで出されるので、箸だけでも十分に食べられる。また、器を手に持って食べるのも独特の文化だ。大皿は持たないが、小鉢や小皿、刺し身のしょうゆ皿、香の物、丼やお重も手に持って食べる。置いたまま食べる方が行儀が悪い。

 おかずやたれをこぼさないように、手を受け皿のようにして添える「手皿」をする人は多いが、行儀がいいとは言えない。器を手に持てば、手皿の必要はない。

 また、箸を握ったままおわんや皿、しょうゆさしなどを取るのもあまり美しくない。ご飯のおかわりの時などは、箸置きに箸を置くように心がけたい。箸置きはこうした箸休めの時に必要。外食で箸置きがない時に、箸袋で箸置きを作るのも楽しい=右の「舟形箸置きの作り方」参照。

 箸はつまむ、切る、ほぐす、はがす、すくう、乗せる、運ぶといった繊細な動作すべてができるシンプルな道具だ。これを手になじませ、使うことは、日本が世界に誇る食文化の一つでもある。【小川節子】