第5の味「うま味」の発見
うま味の発見は日本人科学者
かつて味を構成する基本味は、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」の4つと言われてきました。
しかし今から100年ほど前の日本に、これだけでは説明できないもう一つの味があることに気づいた学者がいました。
旧東京帝国大学(現在の東京大学)の池田菊苗博士がその人です。
彼は夫人が買ってきた一束の昆布が、だしとして湯豆腐に使われたことにより、これまで誰も気づかなかったうま味に着目します。
その後研究を重ね、昆布から「もうひとつの味」の成分を抽出することに成功し、その正体がアミノ酸の一種、グルタミン酸であることをつきとめたのです。
「注意深くものを味わう人は、アスパラガス、トマト、チーズおよび肉の複雑な味の中に、共通な、しかし全く独特で甘味、酸味、塩味、苦味のどれにも分類できない味を見いだすであろうーーー」
(池田菊苗 第8回 国際応用化学会 1912年アメリカ)
この国際舞台での発表により、「うま味」は世界へと飛び出したのです。
「UMAMI」は世界共通の公式用語に
グルタミン酸に続いて、かつおぶしに含まれるイノシン酸、干し椎茸に含まれるグアニル酸も「うま味」を呈することが解明されました。
これらの研究成果は国際的な場でも取り上げられ、1985年に開催された「第一回うま味国際シンポジウム」を機に、「うま味」(英語表記=「UMAMI」)という用語が国際的に公式使用されることになりました。