ポテトサラダ好きの性分としては、メニューで見かけるとつい注文してしまう。
ある時、ワインバーで「ワインのための自家製ポテトサラダ」(550円)=写真=を見つけた。ジャガイモの塊が残るくらいの茹ゆで加減で、具はベーコンのみと潔い。
好みの少なめマヨネーズに、粒マスタード。さらに「何か」の上品な酸味が加わっている。ワインによく合い、深く印象に刻まれていた。
「秘訣ひけつは白バルサミコ酢です」と教えてくれたのは、そのワインバー「キナッセ」店主の古賀択郎さん。
お客さんの一言がヒントになり、ポテトサラダに加えて以来、常に同店の一番人気のメニューだという。「ワインと同じブドウで出来た酢だから、ワインと合うのでしょうね」
ここには国内外の個性的で優しい味わいのワインがそろう。10種類前後あるグラスワインの中には、人気ゆえ、なかなか飲めない日本ワインも。
「最後に『あのワインがおいしかった』という印象が残ってほしいから、料理は控えめに、淡い味を心がけています」。
ポテトサラダが縁の下の力持ちのごとく、ワインのおいしさを支えている。(ライター 柿本礼子)