松下幸之助「経営者の競争相手は”時間”だ」

松下幸之助「経営者の競争相手は”時間”だ」
経営の神様が語った経営者の必須条件とは?

江口 克彦 :故・松下幸之助側近 2017年02月17日

瞬きしたら世の中、変わっとるがな(写真:東洋経済写真部)
江口克彦氏の『経営秘伝——ある経営者から聞いた言葉』。

松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。

本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。

「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

経営者は、体力があって、健康でないと

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経営者には「決断力」が大事だという話をしたけれども、次に必要なことは、そやね、「行動力」ということやろうな。

こんなに目まぐるしく移り変わる時代のなかで、経営者のいちばんの競争相手は、ライバルの同業他社ではなくて、時間やな。

時間と競争ということになる。いかに速く行動するか、出来るかということが勝負の分かれ道になってくるわね。

昔のように、時間がゆっくりと流れておるときには、たとえ行動的でなくても、たとえば、腕組みして、どうかいなあ、などと思案しながら、ひとつの問題に悠々と対応できた。

だから1日、2日、いや、10日や20日ほど遅れて動き出して、それからよその会社を追いかけても、まだ十分に間に合うといった時代であったと思う。

けど、いまの時代はそうではないな。瞬きしたら世の中、変わっとるがな。

いままでの赤い世界が青い世界になっとる。緩慢な行動をしておったら、他社に負けるというよりも前に、時間に間に合わなくなる。

だからな、自分の部屋があって、大きないすに腰かけて、ゆっくりたばこを吸って、いかにも悠然としておるようでは、これからの経営者とは言えんな。

尻が軽いという言葉があるやろ。あんまり品のいい言葉ではないけどね、けど、これからの経営者は、尻が軽くないといかんな。

なにかあったら、さっと動く。すぐ行動できる。そうでないとあかんで。