■危うい糖質制限

ごはん・おかず交互に 「口中調味」でおいしく健康

■危うい糖質制限

 ダイエットのため糖質制限をする人がいる。

ただ「適度にブドウ糖を取らないとエネルギー代謝がうまくいかない可能性がある」と京都大学大学院医学研究科の糖尿病・内分泌・栄養内科学特定助教の池田香織さん。

 糖質が極端に減り、タンパク質や脂質が増えると、ケトン体と呼ばれる物質が体内に増える。

すると「糖尿病の人では、体が酸性に傾いて意識障害などを引き起こすケトアシドーシスになる危険性もある」と池田さん。

 池田さんたちは、米飯を中心に一汁三菜を基本とする日本食を科学的に検証しようとしている。

糖尿病患者にも、摂取総カロリーの50〜60%は白米など炭水化物から取るよう指導。

肉や魚などタンパク質の調理にうまみの強いだしを使い、みそ汁や発酵食品などと組み合わせてバランスの良い日本食を薦めている。

ただしその際「米飯を先に食べると、血糖値がいきなり上がりやすいので、食べ方には工夫が必要」(池田さん)。

 女子栄養大学副学長の香川康雄さんは「血糖値が急激に上昇すると、下げようとインスリンが過剰に膵臓(すいぞう)から出される。

それで血糖値が下がると空腹感が増強し、食欲が再び出て過食や肥満につながりやすい」という。

防ぐには副菜に野菜料理を用意し「野菜から先にゆっくり食べ、その後主菜と米飯を交互に食べた方が血糖値の上昇がゆるやかになる」(香川さん)。

 ゆっくり食べるというのも一つのポイント。食べる速度の速い人はゆっくり食べる人よりも、糖尿病に2倍近くもかかりやすいとの結果が、国民健康・栄養調査で明らかになっている。

 そもそも、肥満の原因は、食べ過ぎや偏食という食生活の乱れの影響が大きい。

カロリーオーバーに気をつけながら食べる順番を考え、食後の血糖値の急上昇を防ぐようにすれば、過度に炭水化物を控えるダイエットに走る必要はないだろう。

 口中調味はどの食材を混ぜ合わせるかによって味のバリエーションが広がる。日本食の特徴をいかしたいものだ。

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