セサミンだけでは語り尽くせないゴマの健康成分
2015.09.18(Fri) 漆原 次郎
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そこで、勝崎氏が推測したのが「配糖体」とよばれる化合物だ。配糖体とは、糖が水酸基という部分をつなぎ目にして、他の物質と結びついた化合物のこと。いわば、糖のブロックと、他の物質のブロックが、水酸基というポッチでくっついているようなものだ。
まず、勝崎氏は、木に多く含まれている配糖体がゴマのかすにも含まれていることを発見した。しかし、その配糖体自体の活性だけではまだ、ゴマのかすを食べさせた動物で見られる強力な抗酸化効果の説明がつかなかった。
そこで、勝崎氏はゴマに含まれる配糖体が抗酸化作用を発揮するために必要なメカニズムがあると考えた。それが、酵素による配糖体の分解だ。
βグルコシダーゼという酵素は、配糖体の「糖」と、糖と結びついていた「他の物質」を切り離すハサミの役割をもつ。
勝崎氏はゴマをすり潰すなどして処理した溶液に、この酵素を作用させてみた。すると、糖から「セサミノール」という物質が分離された。
このセサミノールは、セサミンと同じくゴマリグナンの1つ。つまり、「ゴマリグナン以外のなにか」として正体不明だったものは、ゴマリグナンと糖が結びついた配糖体だったのだ。
その後、勝崎氏はセサミノール以外にも、糖と結びつくゴマナグリンを複数見出し、ゴマに含まれる配糖体の正体を突き止めていった。
これらの配糖体、実は私たちの体の外では抗酸化作用などの活性を示さない。
ところが、体内に摂り込まれると、活性を示す。
それは、腸内細菌が有するβグルコシダーゼなどの酵素が配糖体を切り離すことで、活性への”スイッチ”を入れるような役割をするからだ。
「眠った状態で種子に含まれている配糖体が、体内に入り“スイッチ”を入れられることで、初めて効くわけです。腸内細菌の酵素によって、配糖体から、抗酸化作用を持つゴマリグナンが生成されるのです」
抗酸化作用を示す各種ゴマリグナン 。拡大画像表示
企業に見初められ寵愛されてきたセサミン
どうやら「ゴマで健康といえばセサミン」といった単純な話だけではないようだ。勝崎氏は言う。
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