サロン・ド・ビオ
日本人はあまりにも儲ける気概がなさすぎる
ダメと決めず、みずから勝ち方を考えよう藤野:さらにもう1つ発明したんです。エジソンの映写機でつくった映画に人が映ったら、エジソン商会におカネを払いなさいっていう「逆肖像権」です。プロとして映画に出る俳優に、おカネを払わせたわけです。それに反旗を翻した人たちが西海岸に行って、ハリウッドを作りました。この話は、日本人の感覚からするとちょっとあくどい人に見えるかもしれないけれど、僕はこれをエジソンのすごいところだと思います。
ちきりん:エジソンは、技術者として一流だけだっただけじゃなくて、マーケット感覚があったってことですね。
藤野:そう。ぼくらがエジソンに学ばなきゃいけないところはそこにあります。エジソンは、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツに近いビジネス感覚に優れた人なんです。
ちきりん:いまだに日本の技術者って、ビジネスや儲け方を考えるのは邪道だと考えているみたいです。なんでこんなことになってしまったんでしょうね。
藤野:それを壊すために、僕はぜひ「リアルエジソン」の映画を作ってもらいたいなと思います。
「制度を守るために子どもを産め」という日本
ちきりん:そもそも人と違うことをやるのが恐いって感覚がある限り、マーケット感覚は身につきません。「マーケット感覚」って、多くの人がやっていることはやらず、自分だけ違うことをやったほうが得だと気がつくスキルですから。投資だって、「株価が上がるときに買って、下がるときに売る」人が多いでしょ。みんなと一緒だと、儲けることはできない。「みんなと一緒は損」なのだと理解しないと。
藤野:日本は、組織に所属する存在として自分を認識するという考え方なんです。どこかに所属している状態が、安定。たとえば「家族の用があるから、帰ります」と言ったら、それはしょうがよねというのが個人主義の考えです。日本のように「上司が残業していると、上司が帰るまでは帰れない」というのは、集団主義の考えです。
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ちきりん:集団の維持が目的なんですよね。昔はお国のために死ねといい、今は年金制度を守るために子どもを生めと言う。「えっ年金制度を守るのは、そんなに大事なことなわけ?」って感じです。
産みたくない人は産まなくていいし、産みたい人はたくさん産めばいい。みんながやりたいことに今の年金制度が合わないんだったら、年金制度のほうを変えるべきです。なのに制度を維持するために「もっと子どもを産め」と言うっていうのは本末転倒すぎる。
藤野:これこそ、集団主義ですよね。
ちきりん:勘弁してほしいです。
藤野:日本人は、個人の幸せを集団とどうマッチさせるかはあまり考えてないですよね。でも、「マーケット感覚」を身につけるには、個人が大事なんです。
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