DNA検査で運命は決まらない(2/3)

DNA検査で運命は決まらない(2/3)2014年9月1日
私達の健康を左右する「マイクロバイオーム」という
新しい発見

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新発見の「マイクロバイオーム」って?

 私達の腸内には、1,000種類以上、100兆個以上の微生物が存在しています。もちろん、腸内だけでなく、皮膚や口の中などの微生物達とも共存しています。それらの微生物達もそれぞれDNAを持っており、その数は、消化器官の中だけでも330万個超になると言われています。私達の遺伝子数が約2〜2万5千個ですから、100倍以上の他の生物の遺伝子が私達の体内外に存在し、共存していることになります。

 それらの微生物は総称してマイクロバイオータと呼ばれ、マイクロバイオータのDNAを総称してマイクロバイオームと呼びます。そしてこれらのマイクロバイオータは、私達が他の生き物とふれあう度に相互に交換されています。

 そのためマイクロバイオータの編成はひとりひとり異なります。DNAがまったく同じ一卵性の双子も、訪れた場所や友人関係が異なれば、マイクロバイオーム(DNA)の構成が異なるのです。もちろん家族同士は似る傾向にありますが、同じにはなりません。マイクロバイオータの構成そのものが、私達のバイオ個性(第一回目参照)の源と言えるかもしれませんね。

 そのため、個人のDNAだけでなく、個人と共存するマイクロバイオーム(DNA)の発現が正常に行われるような食事やライフスタイルが、宿主である私達の健康に有益につながっているというのが最新の発見です。マイクロバイオータは、私達の代謝効率、免疫力、情緒、ホルモンバランスなどに大きな影響力をもち、病気の発現を左右しているのです。マイクロバイオータのバランスが崩れると私達は病気になりやすくなります。

 6月と7月に開催したワークショップでは、このマイクロバイオータのバランスを整えて、幸福感や免疫力を高めて幸せ体質になるための方法論「ボディ・エコロジー(R)(体内生態学)」について学んでいただきました。

 私達がマイクロバイオータと出会うのは、母親の胎内にいる時です。今まで、胎盤内は無菌だと言われてきましたが、実は、胎盤にもマイクロバイオータが発見され、その構成は、母親の口内細菌の構成と非常に類似していることが報告されています。その後、母親の産道を通る際に、私達は、母親の腸内細菌や皮膚細菌など、母親を取り巻くマイクロバイオータを受け継ぎます。母親のものだけでなく、誕生の場に立ち会った医師や看護師、父親などの皮膚のマイクロバイオータも含まれます。そして母乳がその繁殖を促進させます。

 マイクロバイオータが赤ちゃんの腸内で繁殖する(ミクロフローラが形成される、※便秘の回参照)のに3カ月、構成が成人に近くなるには、約3年かかると言われています。腸内には、免疫細胞の60%以上が存在しているため、ミクロフローラの健康的な繁殖が、宿主である私達の免疫力や健康に大きく影響します。

例えば、近年、アレルギーなどの免疫疾患をもって生まれてくる赤ちゃんが多いことのひとつの理由として、ミクロフローラの形成不全やアンバランスが挙げられています。これは継承元の母親のバランスが既に乱れていたことや産後の過剰な殺菌・消毒、母乳不足などによって有益なマイクロバイオータが十分に継承・繁殖しなかったこと等が原因と言われています。

 マイクロバイオータの宿主である私達には、マイクロバイオータの数を増やし、種類豊富でバラエティに富み、また、その種類や分布が偏りなくバランスするような食生活やライフスタイルが求められます。マイクロバイオータは、分類学上の「界」や「門」のレベルで異なる微生物の集合体です。東洋人と西洋人程度の差ではなく、人類と鳥類くらいまったく異なるレベルの超多様な微生物の集合体なんです。

マイクロバイオータの分布バランスを整え、好ましいものを増やすには?

 その多様なマイクロバイオータの分布バランスを整え、好ましいものの数を増やすためには、ミクロフローラの住みやすい腸内環境を整える “プロ”ビオティクスと呼ばれる食品を食べることや“プレ”ビオティクスと呼ばれる「ミクロフローラの食べ物」を食べることの他に、抗生物質などをむやみに使わないことや、マイクロバイオータが住みやすい皮膚環境や口内環境を整え、むやみに殺菌剤や洗剤を使わないことが大切です。

 ほかにもできることはあります。

https://www.facebook.com/www.biokitchen.kyoto