障がい者雇用への取組み 農業体験による福利厚生

生産物流通

現在、協力店として都市地域の9店舗の飲食店などを中心に出荷している。単独で流通ルートを開拓し、中間流通は介入していない。
また、楽天市場でも一般消費者へ販売している。輸送にあたっては宅配便等を活用している。

認証制度

生産した農産物を購入しているお店を対象に、障がい者が生産したものを消費する社会貢献プロジェクト参画のお店として認定証を発行している。

農業体験による福利厚生

親会社および他企業の従業員の福利厚生として、水耕栽培にかかる農業体験・研修を受け入れている。

 障がい者雇用への取組み

A社は、ハローワーク等一般の公募により地元の障がい者を中心に採用し、知的障がいおよび精神障がいを抱える障がい者10名が従事している。
賃金はX県の最低賃金を上回っている。

営業は一年中で、休みは交代制で週2日を基本としている。
地元の福祉施設からは、就労や生活相談にかる支援を受けている。

 新たなビジネスモデル2のまとめ

都市の企業が農業生産を行う遊休地・耕作放棄地を活用した取組み農業とは関わりのなかった都市の企業が投資し、現地に子会社(株式会社)を立ち上げ、現地の農家から土地を借り、そこへ施設・生産資材・労働力を投入することにより、直接農業生産を行う取組みである。

取組みの当初は、農家や住民や関係組織等の地域の理解を得ることが難しかったとのことである。

農業体験による福利厚生

企業の福利厚生としての農業体験・研修を受け入れる、農業生産が福利厚生としての価値を提供する取組みである。

実際に農業生産に従事することで、職員のレクリエーションやリラックスに効果がある
とのことである。

 本取組みによる課題解決への貢献

2つの取組みは、都市地域と農村地域を結ぶ新たなビジネスモデルであり、障がい者だけでなく、健常者の雇用にもつながる、新たな農業および農地管理のモデルでもある。

都市地域では、企業は

①障害者法定雇用率が未達成であること、
②従業員の心身のケア(福利厚生)、消費者は
③安全な顔の見える食料・国産農産物の入手が課題となっている。

また、農村地域では、農家は、
④後継者・担い手不足、
⑤販売先の確保、
⑥収益の確保、
⑦そのための高付加価値商品の創出、
⑧一層の業務効率化、
⑨コスト削減、
⑩遊休地・耕作放棄地の増加、障がい者は、
⑪就労の場確保、
⑫自らの能力の発見と伸長、
⑬経済的および社会的自立、地域は、
⑭健常者の就労の場確保、
⑮地域経済の活性化、
⑯新たな農業・農村における価値創造などが課題となっている。

これらの取組みはこうした都市地域と農村地域の課題解決に大きな役割を果たしているといえる(図3)。他の農村地域においても、また都市地域の他の企業にとっても参入の参考になるモデルであろう。

さらに事業収益に加え、企業が障害者雇用調整金を考慮するならば、障がい者へより高い賃金支払いを実現できるであろう。