美東ごぼうをつなぐ
〝継続は力なり〟
次に魚住さんが向かったのが堀田さんのごぼう畑だ。美東ごぼうの出荷時期は10月〜12月。現地では収穫シーズン真っ只中で、魚住さんには収穫を体験していただいた。が、畑と言っても油圧ショベルが赤土を掘り起こしている風景から、収穫の2文字をイメージすることは難しい。
それでいて、作業は慎重さが求められる。油圧ショベルはごぼうを傷つけないように1列に掘り進め、掘った側面にある美東ごぼうを二人一組で掘っていく。いや、はがしていくという表現が近いかもしれない。
魚住さんも堀田さんとタッグを組んで収穫に挑戦。最初はおそるおそる赤土と格闘していた魚住さん、カタチの良い美東ごぼうをきれいに取り出すと「収穫がこんなにたいへんな仕事だとは思いませんでした。
でも、土いじりは大人も夢中にさせる魅力がありますね。このまま1列ずっと収穫を続けたくなりました」と堀田さんを笑わせていた。この道20年のキャリアを持つ堀田さんでさえ、美東ごぼうは収穫してみるまで出来映えはわからないことが多いという。
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魚住りえさん土まみれで収穫に挑戦
魚住さんに収穫を体験していただいた。ごぼうの長さがわからない中、1本ずつ土からはがしていく作業は繊細さと集中力がいるようだ。まっすぐな美東ごぼうを収穫して、思わず笑みがこぼれる。始めて数分で全身、土まみれとなった
現在、美東ごぼう生産者組合の組合員となっているのは28戸。60〜70代の層が厚く最高齢の生産者は80歳を超えているという。そうした中で、組合長を務める堀田さんは「美東ごぼうは土づくりこそが最も難しくもあり、最も大切なプロセスなのです」と強調する。
「注目すべきは古くから刈草をごぼう畑の堆肥として活用してきたことではないでしょうか。さきほどのもう一つのキーワード、秋吉台の種明かしです。秋吉台は草を刈ることで成り立っていますが、その草は多くの栄養素を含んでいます。
つまり、秋吉台の刈草を堆肥として還元するのが実は効率的なのです。ただし、一度だけでは土づくりはできません。毎年刈草を土に入れ続けることが欠かせません。それを先人たちは継続してきました。継続は力なり。まさに継続こそがすべてなのです」
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JAグループでは「みんなのよい食プロジェクト」を展開している。左のキャラクターはシンボルマークの「笑味ちゃん」。「心と体を支える食の大切さ、国産・地元産の豊かさ、それを生み出す農業の価値を伝え、国産・地元産
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