日本が「静」なら中国は「動」
日中高齢者事情の違い
「みんな座ったきりだね」——
日本の高齢者介護施設を訪問中の、中国人見学者A氏から、こんな感想が漏れた。「日本の高齢者は座ったきりで、あまり動き回らないようだ」という印象を強めたようだ。
介護度の差にもよるだろうが、確かに、一見元気そうな高齢者でも、テレビの前に座ったままの人が少なくない。
同時に見学者のB氏も「日本の老人はあまりしゃべらないようだ」ということに気づく。
お互いに会話を楽しむ、といった光景があまり見られないのはなぜだろう。施設などで円座を組んで座っていても、そこからは高齢者同士の横のつながり、コミュニケーションが見えてこない。
一方、中国では、数人寄れば「おしゃべり」に花が咲く。上海では高齢者が3、4人でひなたぼっこをし、おしゃべりをする風景をよく見るが、年齢を経てもコミュニケーションを楽しむ能力は衰えていないように見受けられる。
日本の大学院で社会福祉学を専攻する中国人留学生のCさんは、その違いを次のように指摘する。
「日本の人間関係は、互いに干渉しない、というのが根底にある。そのためか、中国人に比べてコミュニケーションの密度は高くないように感じる。中国人は誰とでも気軽に会話を交わす」
また、「高齢者向けの活動プログラムに社交ダンスはないのか」という素朴な疑問も上がった。